SARS-CoV-2の変異株P.1 に対する中和抗体の活性低下について

University of Oxfordらのグループは、SARS-CoV-2の変異株P.1に対する各種治療用抗体、およびPfizer-BioNTech, Oxford-AstraZenecaのワクチンがもたらす中和抗体の活性度の変化について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8008340/

P.1 変異株には次のような変異が含まれています、
NTDにおいて、L18F, T20N, P26S, D138Y, R190S,
RBDにおいて、K417T, E484K, N501Y,
S1のC-末端において、D614G, H655Y,
S2において、T1027I, V1176F。

Lilly抗体 (LY-CoV16, LY-CoV555) については、中和能力が劇的に減少しました。Regeneron抗体 (REGN10933)およびAstraZeneca抗体 (AZD8895)についても、中和能力の低下が認められました。しかし、AstraZeneca抗体 (AZD1061, AZD 7442) については、ほとんど変化はありませんでした。Adagio抗体 (ADG10, ADG20, ADG30) は高い中和能力を持ち、最終的に100%の阻害能力を示しました。むしろ、ADG30 については、中和能力が若干向上しているようでもあります。

また、Pfizer-BioNTechのワクチン投与後得られた血清については、2.6倍(p<0.0001)、Oxford-AstraZenecaワクチンの場合で、2.9倍中和能力が減少しました。