尿酸とCOVID-19: COVID-19を発症すると低尿酸血症になるという

Cliniques universitaires Saint-Luc, Belgiumらのグループは血中の尿酸値とCOVID-19の重症度の間に面白い関係があると述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8201458/

低尿酸血症の割合は、一般的に外来患者の0.3%程度と言われています。しかし、COVID-19に関する本コホート研究では、SARS-CoV-2感染で入院した患者の20%が低尿酸血症であり、ICUにてエクモを必要とする患者では77%にも増加します。

尿酸は、プリン体の代謝産物であり、肝臓で作られます。腎臓は血中の尿酸値の重要なレギュレーターであります。血中の尿酸は、糸球体によってフィルタリングされ、腎臓の近位尿細管において絶妙な吸収と分泌のバランスが取られています。近位尿細管における尿酸輸送の分子的なメカニズムはまだ完全に解明されていないと言えますが、URAT1 (SLC22A12)が近位尿細管内での尿酸の再吸収を介在する主たるトランスポーターだと考えられています。COVID-19で死亡した患者の腎臓サンプルからの検証では、このURAT1が70%も減少していることが確認されており、これが尿酸の再吸収と分泌のバランスを崩しているものと考えられます。いずれにしても、COVID-19由来の低尿酸血症の原因は推測的であり、多岐にわたる要素が関係しているものと思われます。

ともあれ、血中の尿酸値がCOVID-19の重症化リスクを予見する信頼に足るバイオマーカーであるようです。