小麦の根圏:小麦の塩害耐性を耐塩性のバチルス菌の接種で改善し、小麦の成長を促進する

Key Laboratory of Integrated Management of Crop Diseases and Pests, Department of Plant Pathology, Nanjing Agricultural University, Chinaらのグループは、小麦の塩害耐性を耐塩性のバチルス菌の接種で改善し、小麦の成長が促進されることを実証しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9608499/

塩分は、酸化ストレス、浸透圧ストレス、栄養異常、膜機能不全、光合成活性の​​低下、およびホルモン機能不全らにつながる生理学的および代謝障害を誘発することにより、小麦の生育に有害な影響を及ぼします。塩害ストレス下の植物は、活性酸素種 (ROS) を過剰生成することがあり、タンパク質、細胞壁、そしてまた核酸にダメージを与えます。本研究の目的は、中国の青海チベット地域から分離された耐塩性のバチルス株が小麦の成長を促進し、小麦に対する塩ストレスの悪影響を軽減する可能性を評価実証することでした。

バチルス菌株、PGPR、FZB42、NMCN1、および LLCG23は、それぞれ最大 10% NaCl、18% NaCl、および 14% NaClのLB 培地でも増殖できるという耐塩性を示します。
小麦へのNMCN1 と LLCG23 の接種は、コムギの成長パラメーターを大幅に強化しました。高NaCl 濃度 (200 mmol) の環境下で、コントロールとなる小麦に対して、それぞれ、生重量=31.2% と 29.7%、乾燥重量=28.6% と 27.3%、シュート長=34.2% と 31.3%、根長=32.4% と 30.2% と大幅な植物成長効果を示しました。

バクテリアの塩耐性遺伝子、DegU、OstB、OhrR、ComA、SodA、および OpuAC はすべて、生理食塩水条件下で昂進されていることが確認されました。更に、塩害ストレス (200 mmol) の下で NMCN1 を接種した小麦は、expansin (expA1)、cytokinin (CKX2)、そしてauxin (ARF)に関連する遺伝子を有意に発現させており、LLCG23 および FZB42 がそれに続きました。エチレンをコードする遺伝子 (ERF) の発現は、同じストレス条件下で栽培された NMCN1を接種した小麦で大きく発現が低下していました。以下に示すように、高度に好塩菌である NMCN1 を接種した小麦においては、耐塩性遺伝子 (MYB、DREB2、HKT1、および WRKY17)が高発現しており、続いて LLCG23 および FZB42 と続きました。