SARS-CoV-2 オミクロン株に特徴的な糖鎖修飾とその影響

Institute of Synthetic Biology, Shenzhen Institutes of Advanced Technology, Chinese Academy of Sciences, Shenzhen, Chinaらのグループは、SARS-CoV-2 オミクロン株に特徴的な糖鎖修飾構造と、その影響について報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36318020/

SARS-CoV-2に関する話題をブログにするのは、もう止めようと思っていたのですが、レクチンマイクロアレイを用いた比較糖鎖プロファイリング解析を基本にしている話題だったので、本論文を糖鎖とレクチンに関する話題として簡単に紹介しておこうと思います。

レクチンマイクロアレイを使用した比較糖鎖プロファイリング解析から、SARS-CoV-2 オミクロン株では、末端フコース修飾が昂進し(UEA-Iレクチンより) 、シアリル化(MAL-II、MAA、SNA-Iらのレクチンより) およびガラクトシル化糖鎖(CSA、 WFA、SBA、VVLらのレクチンより)も、他の変異株(アルファ、ベータ、デルタ)より昂進していることが示されました。

SARS-CoV-2 オミクロンのスパイクタンパク質をノイラミニダーゼまたはガラクトシダーゼで処理すると、中和抗体の影響を受けやすくなることが示されました。これは、即ち、オミクロン株では、シアル酸およびガラクトースの修飾を受けた糖鎖の発現が高いほど、中和抗体に対するシールド効果が高まる可能性があることを意味しています。