不妊症の一つの原因である薄い子宮内膜(子宮内膜発育不全)に対する再生医療学的な治療アプローチについて

成育医療研究センターのグループは、不妊症の一つの原因である薄い子宮内膜(子宮内膜発育不全)に対する再生医療学的な治療アプローチについて述べています。
https://stemcellres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13287-021-02188-x

不妊症にはいろいろな原因があるのですが、その中の一つに薄い子宮内膜(子宮内膜発育不全)があります。子宮内膜が薄いと、卵子の着床が起こりにくいということが分かっていますが、何故そうなのか?については、殆ど分かっていません。この子宮内膜発育不全に対する治療法には、(1)エストラジオール補充やミネラルやビタミンの投与、そしてまた、再生医療的なアプローチとして、(2)多血小板血漿の投与、(3)間葉系幹細胞の投与、および(4)in vitroで培養した自家子宮内膜シートの利用などが考えられています。

再生医療学的なアプローチでは、しかし、子宮内膜を如何に効率的に xeno-freeで培養するか?という事が非常に重要です。子宮内膜は基本的にfeeder-freeでは培養が難しく、xeno-freeという観点から、著者らはMEFではなく自家子宮間質細胞をfeederとする方法を開発しました。そしてまた、子宮内膜細胞の成長を加速するという観点で、特殊培地(ESTEM-HE)を使用しました。下図にて、conventional mediumとはDMEMであり、epithelium-specific medium とは特殊培地ESTEM-HEであります。