バチルス菌のバイオフィルム形成能力が植物病原菌を押さえるには非常に大切

College of Food Science and Light Industry, Nanjing Tech University, Nanjing, Chinaのグループは、バチルス菌のバイオフィルム形成がバチルス菌の根圏におけるコロニー形成を促し、植物病原菌に対する生物的防除を高めると報告しています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2022.972393/full

バチルス菌は植物病原体に対する生物防除剤として使用され、それらのほとんどは細胞外高分子物質のひとつとしてポリ-γ-グルタミン酸 (γ-PGA) を生成することができます。

本研究では、バチルス・アストロファーガス NX-12 (γ-PGA 収量: 16.8 g/l) と、その γ-PGA 合成遺伝子をノックアウトした株 NX-12Δpgs を抗真菌能の観点から比較しています。
予想外にも、γ-PGA 合成酵素欠損株 NX-12Δpgs (γ-PGA 収量: 1.65 g/l) の抗真菌能力は in vitro で改善されましたが、NX-12Δpgs の生物防除能力は in situ で逆に大幅に減少してしまいました。

NX-12 によって生成された γ-PGA は、バイオフィルム形成と根圏のコロニー形成に非常に重要であることが示され、これによって、生物防除能力が効果的に改善されたのです。つまり、根圏における生物防除剤としてのバチルス菌ですが、本研究によって、その効果的なコロニー形成(縄張り形成)が、生物防除機能の発現にとって非常に重要な要素であることが示されています。


NX-12Δpgs (pMA5-pgs) は、NX-12ΔpgsをpMA5-pgsBCAプライマーを使って回復させたものです、ここで pgsBCA というのは、NX-12が持つγ-PGA合成遺伝子です。