bisecting GlcNAc の糖鎖修飾を受けたセルロプラスミンが膵がんの優れたバイオマーカーとなり得る

College of Basic Medical Sciences, Dalian Medical University, Dalian, Chinaらのグループは、bisecting GlcNAc の糖鎖修飾を受けたセルロプラスミンが膵がんの優れたバイオマーカーとなり得ると報告しています。
https://www.mdpi.com/2073-4409/11/15/2453/htm

健常対照群 (NC)と比較して、bisecting GlcNAc、マンノース、およびフコースらの糖鎖修飾相対量は、膵がん群 (PC) で有意に増加していました。また、急性膵炎群 (AP) との比較では、bisecting GlcNAcとフコシル化の相対存在量が、膵がん群で大幅に増加していました。しかしながら、フコシル化の相対量は、健常対照群と急性膵炎群の間あまり変化していないようでした。

糖鎖のみを用いてバイオマーカーを開発することには困難が伴うため、bisecting GlcNAcを含む血清糖タンパク質をビオチン化 PHA-E レクチンおよびストレプトアビジン アガロース ビーズでプルダウンし、nano LC-MS/MS で分析しました。その結果、バイオマーカー糖タンパク質候補として、セルロプラスミン(Cp)、アポリポタンパク質E(Apo-E)、トランスフェリン(Tf)の三つの糖タンパク質が挙げられました。

これらの候補の中で、セルロプラスミンが最高の診断能力を示しました。健常対照群と急性膵炎群、健常対照群と膵がん群、および膵がん群と急性膵炎群の間のセルロプラスミンの AUC は、それぞれ 0.917、0.972、および 0.757 となりました。