チョレイマイタケの菌根から取得した植物成長促進細菌の効果について

School of Pharmaceutical Sciences, Peking University, Beijing, Chinaらのグループは、チョレイマイタケ から分離された菌根細菌に関して報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9340266/

真菌性病原体は、フサリウム萎凋病などの一連の深刻な植物病害を引き起こし、農業生態系におけるほとんどの病害の原因となっています。
これらの病気に対処するためには、主に二つの方法があります。
(1)病気に強い植物を開発すること、そして
(2)化学的な殺菌剤を使用して病原体の拡散を制御すること、であります。
しかし、これらの二つの方法には、長い開発期間を要するという問題と、病原体がやがては薬剤耐性を持つようになるといった欠点があります。従って、植物病原性真菌病に対処するための実用的かつ持続可能な戦略というのは、生物学的防除剤の開発と適用であろうと考えられます。

このような観点で、従来より、植物や菌類から幾つかの細菌が分離されており、そのほとんどはバチルス属とシュードモナス属に属していて、これらの属が十分な植物成長促進効果と顕著な生物防除力の可能性を示すことが実証されて来ています。

本論文においては、チョレイマイタケの菌根サンプルから21種類の根圏細菌株が分離され、有害な殺菌剤の過剰使用を必要としない農業の持続可能性という観点と、IAA、シデロフォアなどの産生やリン酸塩の可溶化という植物成長促進能力の観点の両面からその有効性が評価されました。

分離された菌株の中で、シュードモナス ZL8 株が植物生長促進細菌として最も高い性能を示すことが示されました。ZL8 株の発酵液から19種類の化合物が同定され、その内 2,4-ジアセチルフロログルシノール (DAPG) が、植物病原性真菌に対して 3.12 ~ 25 μg/mL の最小阻害濃度で有意な阻害効果を示しました。また、シソ科植物の丹参を用いて植物生育促進能力を評価したところ、以下のように顕著な効果があることが確認されました。

ここで、Fo. は、Fusarium oxysporumを意味します