タモキシフェン耐性乳がん細胞は、LacdiNAcの糖鎖修飾を持ち、WFAレクチンと強く反応する

順天堂大学医学部らのグループは、タモキシフェン耐性乳がん細胞がLacdiNACを認識するWFAレクチンと強く反応することを報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9409572/

乳がんには、がん細胞の増殖にエストロゲン(女性ホルモン)を必要とするものがあり、乳がん全体の6~7割を占めています。このようなエストロゲンで増殖するタイプの乳がんに対してはエストロゲンの働きを抑える抗エストロゲン薬 (タモキシフェン) の効果が期待できるとされています。しかしながら、中には、タモキシフェンに耐性を持つ乳がん細胞が出現する場合があります。

糖鎖修飾は、糖転移酵素の逐次作用によるタンパク質の主要な翻訳後修飾であり、糖鎖修飾の変化は、発癌、悪性進行および転移と関連していることが良く知られています。
そこで、本研究においては、タモキシフェン耐性ヒト乳癌細胞の糖鎖プロファイルをレクチンマイクロアレイを用いて調査し、内分泌療法の予測バイオマーカーとしての糖鎖修飾の変化が使えるかどうかを検討しています。

結果として、タモキシフェン耐性乳癌細胞は、LacdiNAcの糖鎖修飾を持ち、WFAレクチンと強く反応することが示されました。