植物病原菌フサリウムを押さえるには、根圏バクテリアの多様性とシデロホアを産生するバクテリアが大切

Key Laboratory of Plant-Soil Interactions, China Agricultural University, Beijing, Chinaらのグループは、トウモロコシとそら豆の間作において、根圏バクテリアの多様性とシデロフォア産生菌が総合的に植物病原菌であるフサリウムを抑制すると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9389221/

世界の食料生産は様々な脅威にさらされており、土壌伝染性病原体が収量損失に与える影響は、約20% であると言われています。大量生産を目的とする集中的な大規模な単一栽培は、収量の損失を引き起こす病気の発生を起こし易いとされ、一方で、真菌病は、輪作や間作などの多様な作付システムを取ることで抑制されることも知られています。

この研究では、次の三つの植栽パターンが比較されました。
(1) 単一栽培トウモロコシ、
(2) 単一培養のそら豆、および
(3) トウモロコシとそら豆の間作。

その結果、間作により、単作よりもトウモロコシとそら豆の収量がそれぞれ21.3%と14.4%増加し、間作により、バルク土壌、根圏土壌、および根のエンドスフェアで、単作よりもフサリウムの遺伝子コピーが2.91、7.33、および9.56%と大幅に減少していました。また、フサリウムの抑制は、トウモロコシよりもそら豆で効果が大きいことが示されました。

根圏バクテリアの多様性と細菌叢の分析結果から、次のことが分かりました。
(1) 根圏バクテリアの多様性とその相互作用が間作で強化され、これは フサリウムの減少と相関していた、
(2) トウモロコシおよびソラマメの根圏におけるシデロフォア産生バクテリアの数は、フサリウムの存在量と逆相関していた。