キノコから抽出されたコカプリン( β-トレフォイル・レクチン)がプロテアーゼ阻害剤となる

Department of Biochemistry and Molecular and Structural Biology, Jožef Stefan Institute, 1000 Ljubljana, Sloveniaらのグループは、コカプリンと名付けられたキノコ(Coprinopsis cinerea)から抽出されたβ-トレフォイル折り畳み構造を持つレクチンは、システインとアスパラギン酸プロテアーゼの両方を阻害したと報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9104457/

キノコ(Coprinopsis cinerea)に関する配列ベースの構造解析では、2つのコード化タンパク質、それぞれCCP1とCCP2、およびそれらの重複遺伝子を持つCCP3が存在し、リシン型β-トレフォイル・レクチン様ドメインを含むと予測されました。 3つのタンパク質はすべて、古典的な分泌のためのシグナルペプチドを欠いているため、内在性であると予測されます。

コカプリンは、C1ファミリーに属する植物システインプロテアーゼを低µM範囲のKiで阻害し、アスパラギン酸プロテアーゼペプシンも低µM範囲のKiで阻害することが判明しました。

コカプリンはこれらプロテアーゼ阻害に加えてレクチン活性を持っていることが示されました。糖鎖アレイを使用して、コカプリンの糖鎖結合特異性が分析されました。 CCP1の場合、LacNAcまたはpolyLacNAcを含む糖鎖構造に弱い結合特異性を示し、CCP2の場合は結合がさらに弱くなっていました。いずれにせよ、糖鎖結合特異性を示すことには間違いがありません。

しかしながら、コカプリンの生物学的機能は不明です。防御における潜在的な役割として、CCP2の発現が真菌性線虫による攻撃で誘導されたことは注目に値します。しかし、線虫や双翅目昆虫の幼虫に対するタンパク質の毒性は検出されませんでした。これらはすべて、他のβ-トレフォイルプロテアーゼ阻害剤やレクチンの標的となることが分かっているのにです。不思議ですね。