アガラクト(i.e., GlcNAc)結合特異性を持つレクチン:BLL、PVL、GSL-II、そしてBGL

複合型糖鎖において末端のGal修飾を欠く糖鎖(すなわちアガラクト型:末端GlcNAc)は、自己免疫疾患などで良く見られる糖鎖構造です。アガラクト型を認識するレクチンには、下記のように、BLL, PVL, GSL-IIらが知られています。BLLとPVLはキノコ由来であり、GSL-IIはマメ科レクチンです。

Boletopsis leucomelaena(クロカワ):BLLレクチン

 

 

 

 

 

Psathyrella velutina(ムジナタケ):PVLレクチン

 

 

 

 

 

 

Griffonia simplicifolia(バンデリア豆):GSL-IIレクチン

 

 

 

 

 

 

New England Biolabs, Inc.のグループは、クロカワキノコの北米における同種キノコ(Boletopsis grisea)の遺伝子配列を明らかにし、recombinant lectin (rBGL)の糖鎖結合特異性を糖鎖アレイを用いて評価しました。興味深いことに、rBGLは、アガラクト型N型糖鎖にアフィニティーを持つ以外に、O型糖鎖であるThomsen–Friedenreich 抗原 (TF-antigen; Galβ1,3GalNAc-α-)にもアフィニティーを持つことが明らかとなりました。アプリケーションによっては、このO型糖鎖への結合性を生かせるかも知れません。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-80488-7