SARS-CoV-2 オミクロンに見られるH655Y変異がSpikeタンパク質の切断を加速する

Department of Microbiology, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York, NY 10029, USAらのグループは、SARS-CoV-2ガンマやオミクロン変異株に見られる655Y変異が、SARS-CoV-2の感染を加速していると述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8776496/

H655Y変異の影響を評価するために、H655Y変異を含む5種の変異株(MiA1、MiA2、NY7、NY13、WA1-655Y)と、H655Y変異を含まないコントロールとしての2種の変異株(WA1とNY6)を用意しました。VeroE6細胞とVero-TMPRSS2細胞を用いて、このウイルスパネルにおけるSipeタンパク質の切断と複製の違いを評価しました。これら655Y変異株の場合、総Spikeタンパク質の90%以上が切断されていました。対照的に、NY6およびWA1コントロールの場合は、切断効率が大幅に低下していました。

さらに、ヒト肺細胞様細胞を655Y(NY7、NY13、WA1-655Y、NY6、およびWA1)を含むウイルスパネルに感染させ、ウイルスの増殖とSpikeタンパク質の切断を評価しました。 WA1-655Yは、WA1野生型と比較して、ヒト気道上皮系でより高い複製効率を示しました。更に、655Yスパイク変異をコードするすべての変異株で、Spikeタンパク質の切断効率が上昇していました。これは、S:655Y多型がSARS-CoV-2Sタンパク質の切断とヒト肺細胞様細胞への細胞侵入に重要な役割を果たしていることを示しています。

参考までに、アルファ変異株に見られるP681H変異と、カッパおよびデルタ変異株に含まれるP681R変異は、スパイク切断の増強をもたらすことが知られていることにも注意する必要があります。