アーバスキュラー菌根菌のトウモロコシへの接種効果について

Guangxi Colleges and Universities Key Laboratory of Crop Cultivation and Tillage, College of Agriculture, Guangxi University, Nanning, Guangxi, Chinaらのグループは、アーバスキュラー菌根菌(AMF)のトウモロコシへの接種効果について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8817564/

5種の接種法を比較しています:
Rhizophagusaggreratusを接種したトウモロコシ植物を、 RA
Claroideoglomus etunicatumを接種したものを、 CE
Funneliformismosseaeを接種したものを、 FM
これら3種のAMFを合わせて接種したものを、 MI
AMF接種のないコントロールを、 CK としました。

収穫期間中のトウモロコシにおける合計N、P、およびKのレベル(g plant-1)を測定し分析した結果を以下に示します。MIにおけるN、PおよびKの蓄積が最も高く、AMFとのトウモロコシ共生によって、N、PおよびKの蓄積能力はCKよりも有意に高くなっていることが明確に示されました。

異なるAMF接種は、異なる成長段階でトウモロコシの根の分泌液に異なる影響を及ぼしました。この実験では、トウモロコシの根の分泌液から10種類の有機酸が分離されました。
トウモロコシの成長期における有機酸分泌の総量から、以下のことが分かりました。
FMは、p-ヒドロキシ安息香酸、p-クマル酸、コーヒー酸の分泌を促進し、
CEはシリング酸の分泌を促進し、
RAはクロロゲン酸とコハク酸の分泌を促進し、
逆に、プロトカテク酸、バニリン酸、クエン酸、フェルラ酸のレベルは、CKのレベルより低下していました。

幾つかの研究において、p-ヒドロキシ安息香酸がフサリウム菌の数とフサリウム萎凋病の発生を減らすことができ、バニリン酸が土壌伝染病を抑制し、土壌伝染病を減らすことができ、土壌伝染性病原菌の抑制に重要な役割を果たしているとされるコーヒー酸は、青枯病菌(ラルストニア・ソラナケアルム)の増殖を直接阻害する場合があり、フェルラ酸は強い他感作用を持ち、植物の根の増殖を阻害する場合がある、と報告されています。

従って、AMFは、植物の根からの分泌液中のp-ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸、およびコーヒー酸のレベルを上げることにより、土壌伝染病を軽減している可能性があります。トウモロコシの成長におけるこれらの有機酸の役割と、AMF共生後のトウモロコシの成長に対するそれらの影響は、さらに研究されるべきでしょう。