University of Alberta, Canadaらのグループは、Gal-9がCOVID-19の優れた診断マーカーになり得ると報告しています。
https://mbio.asm.org/content/12/3/e00384-21.long
自然免疫細胞は、非常に多岐に渡り病原菌を認識し、免疫応答をします。例えば、活性化したマクロファージや単球は、サイトカインを多量に分泌します(IFN-γ, IL-1, IL-6, TNF-α, IL-18など)。同様に、好中球は好中球細胞外トラップを放出し、NK細胞は病原菌殺傷の第一線で働くと同時に免疫反応の継続にも関与し、サイトカインストームを増幅します。大まかに言えば、基礎疾患で弱くなった自然免疫に、老齢化による免疫反応の乱れが加わり、ウイルス感染が引き金となり、サイトカインストームを引き起こしていると言えます。
Galectinは、細胞の分化、信号伝達、免疫調整などいろいろな生命現象に関わっています。本研究は、Galectin、特にGal-9にフォーカスを合わせ、それがCOVID-19という病理の中でどのように位置づけされるのかを探る為に、120名のSARS-CoV-2感染者と59名の健常者を含むコホート研究として行われています。
健常者に比べて顕著に高レベルのGal-9がCOVID-19の血漿中に存在しました(0 から 2,042 pg/ml)。更に、血漿中のGal-9は、COVID-19の重症者で中度/軽症者よりも顕著に高発現していました(重症者:1,950 から 125,510 pg/ml)そして(中度/軽症者:1,000 から 83,717 pg/ml)。 ROC解析からは、カットオフ値=2,042 pg/mlとして、特異度/感度(95%)にて、COVID-19患者を、健常者、HIV感染者、そして癌患者から判別することが可能であることが示されました。COVID-19患者の血漿中Gal-9が、HIV感染者、デング熱感染者、インフルエンザ感染者、更には癌患者のそれよりも高発現しているというのは、非常に興味深い事柄です。
Gal-9が如何なる細胞種から産生され、どのようにCOVID-19のサイトカインストームに至る自然免疫応答に関わっているのか?は非常に興味深く、著者らの一連の実験結果からは、下記のようなモデルが提唱されました。SARS-CoV-2の感染にてダメージを受けた肺上皮細胞からGal-9が分泌される。それが肺胞マクロファージを活性化し、活性化されたマクロファージやアポトーシス細胞から炎症性サイトカインやGal-9が分泌される。更に、Gal-9は単球や他の免疫細胞も活性化し、サイトカインストームのオーケストラに直接的に加わる。
