Lenzilumab、第3相治験にて、COVID-19治療薬としての有効性が示された

Mayo Clinicらのグループは、COVID-19に対するLenzilumabの第3相治験から治療薬として有望な結果を報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33972949/

COVID-19においては、顆粒マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)が病態の重症度、肺組織へのマクロファージの遊走、ICU入院らと相関があると言われています。GM-CSFはサイトカインの一種であり、多能性造血幹細胞に分化を促し、結果としてそのダウンストリームにあるケモカイン (MCP-1, IL-8, IP-10) や、サイトカイン (IL-6, IL-1)の産生を加速します。

Lenzilumabは、GM-CSFに直接的に結合する抗体であり、GS-CFSの受容体への結合を阻害し、そのダウンストリームを遮断します。LenzilumabのGM-CSFへの結合アフィニティーは25pMであり、体内での消失速度も遅いとされています。 Lenzilumabの有効性を検証するために、ランダム化、ダブル・ブライン、プラセボ・コントロールを用いた第3相治験が行われました。Lenzilumabのドーズは600mgであり、8時間の間をあけ、28日間にわたって静脈注射にて投与されました。

Lenzilumabは、survival without ventilation (SWOV) を指標として、28日間を通して54%改善することが出来ました。しかし、この効果は、CRP<150 mg/L、85歳以下という条件に限られることに注意しましょう。