ACE2-IgG4 Fc融合タンパク質を釣り餌として鼻腔に発現させるAAVベクターを用いたSARS-CoV-2の感染阻害遺伝子治療

University of Pennsylvania, Philadelphia, USAのグループは、COVID-19を感染阻害する為に、AAVベクターに乗せたACE2-IgG4 Fc融合タンパク質を釣り餌として鼻腔内にスプレーするという遺伝子治療を提案しています。
https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1009544

SARS-CoV-2の幅広い変異に対して1,000倍アフィニティーを改善したACE2タンパク質を開発し、それをIgG4 Fcと融合することでSARS-CoV-2に対する釣り餌タンパク質としました。最も優れたSARS-CoV-2に対する釣り餌となる融合タンパク質を CDY14-Fc と名付けました。このアフィニティー・マチュレーションは、酵母ディスプレイによる (>108にも上る) ACE2 変異体フォーマットを用いて実現されました。

CDY14-Fc がSARS-CoV-2の各種変異株(B.1.1.7/アルファー変異株、417N/484K/501Y from B1.351/ベータ変異株、452R/484Q from B.1.617.1/カッパー変異株などなど)を中和できることが下図のように示されており、抗体とは異なり、釣り餌タンパク質の方がより広い中和活性を示し、変異株に対する有効性を持っているようです。

この方法のゴールは、釣り餌タンパク質をコーディングしたAAVベクターをスプレーで鼻腔内に噴霧し、鼻腔内で釣り餌タンパク質を発現させることです。このアイデアの有効性は、類人猿を用いたin vivo実験にて検証されました。