MaxPlanck Tandem Group in Plant Microbial Ecology, Universidad del Valle, Cali, Colombiaらのグループは、苗の根圏におけるバクテリアや真菌の大半は、実は土壌由来ではなく、種子由来であると述べています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2021.737616/full
最近まで、研究者達は、すべての根圏細菌は、土壌の中に常在する細菌がリクルートされたものであると伝統的に信じていました。しかし、それは本当に正しいのでしょうか?
本実験においては、密着性の高いガラス製の瓶に滅菌した砂を入れ、その中で植物が育てられました。このようにすることで、種子からの接種以外の如何なる接種経路も遮断した状態で細菌叢の成長を観察することができます。本実験では、18種類の植物が使用されています。
驚くべきことに、本実験においては、土壌は、根圏細菌叢の多様性に寄与するが、根圏において最も多く存在するバクテリアや真菌は、なんと種子由来であるということが実証されています。
土壌は、根圏におけるバクテリアの多様性を顕著に増加させますが、多量に存在しているものは、種子からの伝染であります。 平均すると26%のバクテリアのリード数(OTU)は種子由来ですが、これらのバクテリアは、全リード数の実に平均72%を占めています。これらのリード数のほとんどがPantoea、Enterobacter、Pseudomonas、Massiliaらを含むProteobacteriaであり、これらは種子細菌叢にも存在し、非常に多くの植物の種子で見られるものです。
バクテリアに比べると、根圏における種子由来の真菌の多様性は少なく、平均として12%ですが、これらのリード数は全体の中で多数を占める傾向があり、全リード数の平均42%を占めていました。これらの種子由来の根圏真菌の中で最も多いものは Fusariumであり、これはすべての土壌由来の根圏や種子細菌叢で見られるものです。
本実験においては、密着性の高いガラス状の瓶に滅菌した砂、あるいは土壌を入れ、滅菌していない種子を植えています。砂は、121℃で20分間、オートクレーブで二回滅菌され、瓶に入れた後にも、121℃で20分間でオートクレーブされています。土壌は、Palmira, Colombia近くのキャッサバの休閑農地から掘り起こしたものです。