神経芽腫におけるN-型糖鎖修飾の違いが腫瘍の増殖や浸潤に与える影響について

Department of Biochemistry and Molecular Biology, East Carolina University, Greenville, North Carolina, USAらのグループは、神経芽腫におけるN-型糖鎖修飾の変化が、腫瘍の増殖や浸潤に影響を与えることを示しています。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0259743

二種の異なったN-型糖鎖修飾構造を持つ神経芽腫が比較されています。ひとつは、Mgat1をノックダウンすることによってN-型糖鎖修飾を人為的に変化させた細胞株, NB_1(-Mgat1), であり、Oligomannose型のN-型糖鎖のみを発現します。もうひとつは、その元となった神経芽腫細胞, NB_1, であり、より高次の複合型やハイブリッド型のN-型糖鎖を発現します(下図参照、GNL や ConA は、oligomannose型のN-型糖鎖に高いアフィニティーを示し、E-PHA やL-PHA は複合型のN-型糖鎖に高いアフィニティーを持っています)。

細胞の増殖は、複合型のN-型糖鎖構造を持つ NB_1 細胞において、それを持たない NB_1(-Mgat1) 細胞よりも高くなっていました。定量的には、NB_1(-Mgat1) 細胞と NB_1 細胞の間で、54%の低下が見られています。

NB_1(-Mgat1) 細胞は、NB_1 細胞よりも長い突起を持っており、oligomannoseのみを発現する細胞の方が、複合型やハイブリッド型を持つ細胞よりもより浸潤しやすいということを示しています。腫瘍細胞の浸潤性を定量化する為に、浸潤面積の比を評価したところ、 NB_1(-Mgat1) 細胞の方が、NB_1 細胞よりも、2.3倍大きくなっていました。