神経膠腫幹細胞の成長と代謝の再プログラミングにおけるGalectin-1の役割

Department of Cancer Biology and Pharmacology, University of Illinois College of Medicine at Peoria, IL USAらのグループは、Gal-1が神経膠腫幹細胞の成長と代謝の再プログラミングに大きく関わっていることを示しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9247167/

ガレクチン1(Gal-1)とガレクチン3(Gal-3)は、神経膠腫に関連して良く研究されています。 Gal-1は、細胞表面および細胞外マトリックス上のβ-ガラクトース分子に結合します。過去の多くの研究は、Gal-1の発現が腫瘍(結腸癌、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、および神経膠腫)の増殖や浸潤と言った攻撃性の高さと悪性度の進行と相関していることを示しており、Gal-1が癌において重要な役割を果たしていることを示唆しています。

本研究はは、Gal-1が低酸素症の診断マーカーである炭酸脱水酵素IX(CA-IX)によって媒介されるメカニズムを通じて、神経膠腫幹細胞(GSC)代謝において重要な役割を果たしていることを強調しています。 Gal-1はHIF-1αの転写制御下にあり、Gal-1はCA-IXとの物理的結合を介して代謝に影響を及ぼします。Gal-1をサイレンシングすると、CA-IXの発現が減少するため、ワールブルク効果が逆転します。従って、Gal-1/CA-IXシグナル伝達経路を標的とすることは、神経膠腫におけるワールブルク効果を逆転させ、神経膠腫幹細胞誘発性の癌増殖の進行を阻害するための新しい戦略を提供します。


where, GAPHD: Glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase; NPC: neural progenitor cells

マウスモデルにおいて、Gal-1のサイレンシングが生存率を大きく改善することが示されています。