植物はテトラブロモビスフェノールAを糖鎖修飾で無毒化するが、根圏細菌が再び脱糖鎖修飾する

Research Center for Eco-Environmental Sciences, Chinese Academy of Sciences, Beijing, Chinaらのグループは、植物はテトラブロモビスフェノールA(Tetrabromobisphenol A (TBBPA))を糖鎖修飾によって無毒化するが、根圏細菌がそれを再び脱糖鎖修飾すると述べています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8603600/

TBBPA は、最も一般的に使用されている消火剤であり、非常に優れた性能と安さが売りであり、益々使用量が増加しています。
植物は、そのTBBAを水、土壌、空気中から吸収し、それら有機汚染物質を変換することが出来ます。植物における有機化合物の生体内変換は、環境修復の緑の肝臓の概念に従って、フェーズⅠ、Ⅱ、Ⅲとカテゴライズすることが出来ます。活性な水酸基を含むフェノール化合物においては、糖鎖修飾が重要であり、フェーズⅡ反応に分類されています。

糖鎖修飾を受けた代謝物質は、一般的に水溶性であり、容易に根から外界へと放出されます。糖鎖修飾を受けた代謝物質は、細胞壁にトラップされたり、細胞内の液胞内に閉じ込められたりもします。このようにして、汚染物質が植物内に蓄積および植物内で移行するのを防ぐことができ、植物に対する汚染物質の毒性作用を減らすことができます。

本研究においては、カボチャの苗において、TBBPAが糖鎖修飾を受け、根から水溶液として排出されることによって、植物内における蓄積が効果的に減少することが示されました。 しかしながら、根圏細菌がその糖鎖修飾された代謝物を脱糖鎖修飾することが示され、植物の根と根圏細菌の共生において、非常に複雑な取り込みと生体内変換のプロセスが存在することが分かりました。ここで見られる脱糖鎖修飾によって作られたTBBPAは、再び植物によって吸収され、植物やその他の土壌生物に副作用を及ぼす可能性があります。