根圏細菌叢の細菌構成と植物の遺伝子型には相関関係が存在する

State Key Laboratory of Agricultural Genomics, BGI-Shenzhen, Shenzhen, Chinaらのグループは、根圏細菌叢の形成に数多くの植物の遺伝子が関わっていることを、一定の環境下で栽培した827種のアワ育種品種を用いて検証しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9546826/

実験的に、アワの根圏細菌叢から合計 644個の分類学的に異なる細菌株が収集され、257個の細菌分離株を得ることができました。これらの細菌分離株から、植物成長促進に対する回帰モデルでトップのベータ推定値を示した6つの正のマーカーOTU と4つの負のマーカーOTU の代表的な細菌株を用いて、植物成長検証実験が行われました。

ここで、正のマーカーOTUsは、 (Acidovorax OTU_46, Bacillaceae OTU_22228, Kitasatospora OTU_8, Bacillus OTU_19414, Bacillus OTU_25704 and Bacillales OTU_381)、負のマーカーOTUsは、 (Shinella OTU_37, Bacillus OTU_54, Bacillaceae OTU_19835 and Bacillaceae OTU_28133)、であります。

これら10種のマーカー細菌株とアワのHuagu12という育種品種を滅菌プレートで7 日間共培養し、根の長さや植物の高さに現れる違いをコントロールと比較しています。トップのベータ推定値を示すOTU を表す正のマーカー細菌株は、顕著な成長促進能力を示しました。具体的には、正のマーカー細菌株(Kitasatospora OTU_8)は根と茎の両方の成長を促進しましたが、(Bacillus OTU_22228)と(Acidovorax OTU_46)は、コントロールと比較してシュートの成長のみを促進しました。一方、負のマーカー細菌株(Bacillaceae OTU_19835)および(Bacillaceae OTU_28133)は、Huagu12 のシュートと根の成長を抑制しました。

本研究を通じて、宿主の遺伝的変異と根圏細菌叢との間に相関関係があることが示されていることは非常に興味深く、根圏細菌叢の構成が植物の遺伝子型によって影響を受けること如実に示されています。