新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)B.1.427/B.1.429変異株の感染力と中和抗体への影響について

University of California, San Franciscoらのグループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)B.1.427/B.1.429 変異株の感染力や中和抗体への影響について報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33991487/

有名なSARS-CoV-2の変異は、B.1.1.7(英国株)、B.1.351(南アフリカ株)、そしてP.1(ブラジル株)であります。B.1.1.7変異株は、N501Y変異によって、B.1.351 と P.1変異株は、N501Y変異に加えて、E484K、K417N/K417T変異を持っていることが大きな特徴です。
B.1.427/B.1.429変異株は、2020年9月からカリフォルニアで蔓延し出した変異株であり、Spikeタンパク質をコーディングしている領域に存在するS13I、W152C、L452R変異が特徴であります。なお、L452R変異は、ACE2に対するRBDに存在します。

これらの変異株は、変異前の株に比べて、18.6%~24% 感染力が増大しており、中和抗体の力価も、回復期患者のそれで4.0~6.7倍減少し、ワクチン接種でも2倍ほど減少することが確認されました。

この理由については、RBDの構造変化が関係しているとされ、L452はF490やL492と共にRBD上に疎水性パッチを形成することが背後にあると考えられました(下図参照)。