新型コロナウイルス(COVID-19:SARS-CoV-2)の検出にCRISPR/Cas12aを使う:Mn2+を使った増感効果

CRISPR/Cas9が2020年のノーベル化学賞に輝いたのは一週間ほど前のことです。
この手法の派生技術を新型コロナウイルスの検査に使った論文が幾つか見受けられます。下記の論文は、CRISPR/Cas12aを用いた検出について、Mn2+を用いて更に13倍高感度化できたと報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7536916/#advs2020-bib-0005

手法論を簡単に書き出しますと、下記のようになります。

  • 検体からRNAサンプルを取得します。
  • これをDNAに逆転写して、PCRで増幅します(dsDNAを作る)。
  • 新型コロナウイルスのEタンパク質に特異的なRNA配列を使ってクリスパーRNA(crRNA)を予め設計しておきます。
  • これとCas12a酵素を同時に加えると、新型コロナウイルス特異的な配列がサンプルのdsDNAにあると該当箇所が切断されます。
  • これによってPCR過程で組み込まれていた蛍光プローブとクエンチャーの距離的な相互作用が無くなるので、励起光を当てれば蛍光がでる。

この蛍光は、検出器でももちろん読み取りますが、目でも確認できるという訳です。
この系にMn2+を加えると13倍高感度化したということです。