新型コロナウイルス(COVID-19)の重症化にはマクロファージが大きく関わっている

新型コロナウイルス(COVID-19)においては、気管支肺胞洗浄液中に多量のマクロファージが存在することから、重症化に大きくマクロファージが関わっていることが示唆されています。マクロファージは、単なる食細胞ではなく、数多くのサブセットを持っており、それぞれに特有な機能があることが分かってきています。
下記のグループは、マクロファージにおける転写因子(MAFBとMAF)がCOVID-19の重症化に大きく関わっていることを報告しています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2020.603507/full

転写因子であるMAFBは病原性の繊維化促進性のSPP1+マクロファージのサブセットを昂進し、転写因子MAFは炎症性のFCN1+マクロファージサブセットを抑制する機能があります。COVID-19が重症化すると、MAFB/MAF比が大きくなっていることが分かりました。即ち、肺組織の炎症を加速し、同時に繊維化も加速される方向にマクロファージのサブセット群が制御されているということです。
従って、COVID-19の治療に際しては、MAFBを沈黙させ、MAFを過剰に発現させるように誘導することが有効であると結論しています。