新型コロナウイルス(COVID-19)に対する経口投与可能なFc-融合イベルメクチン含有ナノ粒子治療薬

抗寄生虫薬であるイベルメクチンが、抗ウイルス作用を持つことが分かっています。その作用機序については、インポーチンらの核輸送タンパク質を阻害することで、ウイルスタンパク質の核内への輸送が阻止されるからだと考えられています。
イベルメクチンそのものには毒性があり、EC50は、1~10mMであります。イベルメクチンを体内に150ug/kgのドーズで投与した場合の血中濃度は9~75ng/mLにしかすぎず、イベルメクチンの薬効を発揮させるには濃度が低すぎます。
そこで、下記のグループは、イベルメクチン(IVM)を内包するナノ粒子(NPs)を用い、経口投与での腸内での吸収率を上げる為、ナノ粒子にFcを融合させることで、腸上皮細胞に発現しているFcRn受容体を介した腸吸収を可能にした治療薬(経口投与可能なFc-融合イベルメクチン含有ナノ粒子:T-Fc-IVM-NPs)の効果を検証しました。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsptsci.0c00179

現段階では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を感染させたHEK293を用いたin vitroでの実験ではありますが、T-Fc-IVM-NPsを投与することで、ACE2の発現およびS-タンパク質の発現が抑えられたとのことです。また、この方法は他のウイルスに対しても効果が期待できるとしています。

良いですね。