新型コロナウイルス(COVID-19)に見られる小児多臓器系炎症性症候群(Multisystem Inflammatory Syndrome in Children)は、SARS-CoV-2のS-タンパク質に存在する細菌性スーパー抗原が関与している

SARS-CoV-2に感染した小児での川崎病に似た炎症性疾患が報告されており、WHOは この疾患を「小児多臓器系炎症性症候群(Multisystem Inflammatory Syndrome in Children:MIS-C)」と名付けています。
この疾患の原因について考察した研究成果があり、その中で、MIS-Cは、毒素性ショック症候群(toxic shock syndrome:TSS)とよく似た症状を示し、細菌性スーパー抗原の存在をほのめかしています。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.11.09.372169v1

MIS-Cの重症度及びサイトカインストームとT-細胞受容体のβ-可変領域遺伝子(T-cell Receptor Beta variable gene: TRBV)11-2の展開が強く相関していることが確認されました。このTRBV11-2を含むT-細胞受容体とMHCIIがSARS-CoV-2のS-タンパク質に存在する細菌性スーパー抗原様の構造(polybasic insert PRRA周辺のE661からR685にかけての領域)と強く結合した複合体を作ることを分子動力学的に確認しています。このことによって、T-細胞を非特異的に多数を活性化させ、多量のサイトカインが放出されることになると考えられます。