抗シアリル・ルイスX抗体を用いた喘息の治療法

千葉大学薬学部のグループは、シアリル・ルイスX(sLex)糖鎖抗原がアレルギー性喘息の新規な治療ターゲットになり得ることをマウスの喘息モデルを用いて示しました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8471066/

アレルギー性喘息の進行には正のフィードバックループが存在すると考えられます。

正のフィードバックループの最初の部分は、アレルゲンの吸入から始まり、肺の病原性Th2細胞の活性化をもたらします。活性化されたTh2細胞は、IL-5、IL-4、IL-13などのTh2サイ​​トカインを放出します。IL-5は末梢血に放出され、骨髄中の好酸球前駆体の成熟と増殖を誘導します。IL-4およびIL-13は、B細胞のクラススイッチを促進して、肥満細胞に結合するIgEを放出します。抗原曝露を繰り返すと、肥満細胞からヒスタミンが放出されて上皮細胞に損傷を与え、肺胞マクロファージを活性化してCCL11を放出し、これが好酸球を肺組織に引き付けます。次に、好酸球は、そのsLex糖鎖と内皮に発現するP-セレクチンとの相互作用を通じて喘息の肺に動員され、MBPなどの顆粒タンパク質を放出することによって気道上皮細胞に損傷を与えるとともに、Th2細胞のIL-4、IL-5、およびIL-13らの放出も促進します。これにより、炎症カスケード全体が増幅されます。この正のフィードバックループの存在が、肺へのより多くの好酸球の動員をもたらし、炎症を悪化させると考えられます。

著者らは、P-セレクチンを発現する細胞上での好酸球のローリングにsLexが非常に重要な役割を果たしていることから、上記したような肺組織への浸潤カスケードが、sLexに対する抗体を用いることによってブロックされることを示しました。

オボアルブミンがマウスに喘息を引き起こすために使われており、F2は抗sLex 抗体であります。