小麦の根腐れ病と根圏における菌類との関係性について

Hubei Key Laboratory of Crop Disease, Insect Pests and Weeds Control, Wuhan, Hubei Province, Chinaらのグループは、小麦の根腐れ病と根圏の真菌の存在量との関係性について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8675258/

健康なグループ(H54とH5)と根腐れ病のグループ(D4とD5)の間で、根圏土壌の真菌の存在量に有意差がありました(下図参照、PCA分析を使用)。

前記グループ間で存在量に有意な違いがある属は、Alternaria、Apodus、Epicoccum、Scytalidium、およびChaetomiumでした。
Alternaria: 根腐れ病で減少、
Apodus: 根腐れ病で増加、
Epicoccum: 根腐れ病で減少、
Scytalidium: 根腐れ病で増加、そして
Chaetomium: 根腐れ病で増加。

病原菌の存在は小麦の根腐れ病に確かに必要な条件なのですが、病原菌の存在量の豊富さのみが決定的な要素ではないのかも知れません。というのも、土壌の物理的および化学的性質として、NH4、NO3、および全窒素量の増加は、小麦の根腐れ病の発生と相関しており、低い土壌pHと土壌密度は、小麦の根腐れ病の発生に関係しているからです。