レクチンマイクロアレイによるウイルス感染後の細胞表面糖鎖の変化:豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス感染によるブタの感染症

Beijing Key Laboratory of Traditional Chinese Veterinary Medicine, Animal Science and Technology College, Beijing University of Agriculture, Beijing, Chinaのグループは、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス感染によるブタ肺微小血管内皮細胞の糖鎖修飾変化について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9695484/

豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス (PRRSV) は世界中に蔓延しており、何十年にもわたって養豚産業を深刻な危険にさらしており、主に豚の重度の生殖障害や子豚の呼吸器症状を引き起こしています。しかし、その病因はこれまで完全には解明されておらず、その予防と制御は依然として大きな課題となっています。

ブタ肺微小血管内皮細胞の表面糖鎖に対する高病原性ブタ繁殖・呼吸器症候群ウイルス感染の影響を理解するために、この研究ではブタ肺微小血管内皮細胞に、このウイルスのHN および JXA1 株を感染させ、それらの細胞表面糖鎖の変化を、レクチン マイクロ アレイによって分析しています。

ブタ肺微小血管内皮細胞への高病原性ブタ繁殖・呼吸器症候群ウイルス感染は細胞表面構造を著しく損傷し、複合型N-型糖鎖修飾の減少とポリ-N-アセチルラクトサミンの増加を引き起こすことが示されました。この発見は、細胞表面糖鎖の変化が、高病原性ブタ繁殖・呼吸器症候群ウイルス感染によるブタ肺微小血管内皮細胞の機能不全を引き起こす重要な要因である可能性を示唆しているかも知れません。