キチナーゼ-3様タンパク質-1(CHI3L1 )がCOVID-19重症患者で増加し、重症度を予測する

Division of Immunology, Transplantation and Infectious Diseases, IRCCS San Raffaele Scientific Institute, San Raffaele Via Olgettina 58, 20132, Milan, Italyらのグループは、入院患者におけるキチナーゼ-3様タンパク質-1(CHI3L1)のレベルがCOVID-19の重症度を予測すると報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-11532-x

年齢、性別、併存疾患、入院時の呼吸不全および全身性炎症の程度など、すべてのCOVID-19の臨床転帰に関連する事柄とは独立に、高レベルのCHI3L1が、ICUへの転棟や死亡を含め、COVID-19の重症化のリスクと相関ししていることが示されました。

理想的なバイオマーカーというのは、全体的な炎症の状態を反映するだけでなく、血管の炎症や肺のリモデリングなど、有害な疾患の進展の原因となる事柄を反映している必要があります。更に、抗原提示細胞とT細胞の相互作用がCOVID-19の結果の重要な決定要因であるため、このプロセスに関与する分子が適切な候補となる可能性があります。グリコシド加水分解酵素ファミリーのメンバーであるキチナーゼ-3様タンパク質-1(CHI3L1)は、これらの要件を満たしています。 CHI3L1はキチンに結合しますが、タンパク質を切断する能力はありません。また、ヒアルロン酸やヘパリンなどの他の基質にも結合します。細胞外マトリックスの変化、細胞および組織の損傷、サイトカインおよび成長因子への応答など、COVID-19の初期段階で活性化される様々なシグナルは、組織細胞および炎症性白血球による合成を誘発します。そして更に、CHI3L1は、肺上皮細胞および血管細胞におけるACE-2およびウイルススパイクタンパク質プライミングプロテアーゼの発現を刺激します。

CHI3L1は腎障害の認識されたバイオマーカーであるため、CHI3L1レベルは少なくとも部分的に腎障害を反映している可能性がありますが、更に調査される必要があります。