SARS-CoV-2感染で、AngIIに対する交差反応を示す自己抗体ができる場合がある

Pritzker School for Molecular Engineering, University of Chicago, Chicago, Illinois, USAらのグループは、SARS-CoV-2の感染によって、AngIIに対する自己抗体ができる場合があると報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8575143/

興味深いことに、63% (73/115)というかなりの割合で、COVID-19の患者でAngIIに対する交差反応的な自己抗体ができあがるようです。ここで115というのはSARS-CoV-2に感染し、COVID-19患者として入院した患者の数です。

この抗AngII自己抗体のレベルは、血圧調整不全の感謝で明らかに高くなっていました(下図参照)。

更に、抗AngII自己抗体の酸素飽和値に与える影響を調べた結果、抗AngII自己抗体を持つに至った患者(73名)の日々の酸素飽和値の最低値は、抗AngII自己抗体を持たない患者(42名)のそれよりも優位に低くなっていました(下図参照)。

何故、抗AngII自己抗体が出来上がるのかについては、抗原提示細胞によってACE-2に結合したSARS-CoV-2とAngIIが同時に貪食され、自己のペプチドAngIIに対して、ウイルス粒子が強い免疫アジュバントとして作用してしまったことで、抗AngII自己抗体が作られたものと考えられています。