今日現在市販されているレクチンの大部分は天然型レクチンであり、しかも植物由来が大半を占めています。診断薬はともかく、創薬の観点で糖鎖やレクチンを語る場合には、ヒトの内在性レクチンの機能を検討してみることが非常に大切になると思います。
本ブログでは、ヒトの内在性レクチンの中でもひときわ有名なGalectinについて、今日現在の用途やその市場規模がどうなっているのか?について考察してみることにします。
国内で市販されているHuman recombinant Galectinを調べると、サプライヤーとしては、R&D Systems、ACRO Biosystems、Fujifilm、Sino Biologics、Abcam、RayBiotech、Proteintechらがあるようです。市販のサンプルサイズは、植物レクチンとは違って(通常1mg~5mg)非常に少量であり、50µgが標準的です。その価格は、51,000円から81,000円のレンジにあり、植物レクチンに比べると非常に高価です。
哺乳類で発現しているGalectinは、15種類が知られているのですが、その中でどのGalectinが最も流通しているのかがビジネスの観点では非常に気になるところです。Galectinの売上ランキングのデータは見当たらないのですが、Galectin-3に関する研究報告数が多い、がん・線維化・炎症・心血管疾患など幅広い疾患で研究対象である、診断マーカーとして注目度が高い、上記企業すべてが Galectin-3 をラインナップしている、というような傍証から、Galectin-3が最も流通していると推測されます。R&D Systemsの国内代理店であるフナコシのWebサイトには、Galectin-1とGalectin-3がベストセラーであると記されています。Pubmedで検索を掛けた時に出てくる論文数を各Galectinについて調べてみましたので以下にご参考します。Galectin-1=1,275件、Galectin-3=3,793件、Galectin-4=158件、Galectin-7=130件、Galectin-8=222件、Galectin-9=855件、となり、その他のGalectinについては100件以下と非常に少なくなっています。
Galectinの市場規模に対する情報については、検索しても出てきません。今日現在、Galectinは研究用試薬として販売されているのみであり、医薬品・診断薬としての商業市場はまだ形成されていないことが原因であろうと考えられます。研究開発支援ということから恐らく数億円規模、多くても数十億円を超えない規模になるのではないか?と推察されます。
創薬の観点からGalectinを眺めてみると、注目されているのは、Galectin自体ではなく、その阻害剤になっているようです。つまりGalectin抗体や特異的な低分子化合物などです。世界のGalectin阻害剤治療薬市場規模については、多少とも情報があり、DATA BRIDGEの報告では、2024年に1億8,739万米ドルと評価され、2025年から2032年の予測期間中に7.7%のCAGRで成長し、2032年には3億3,921万米ドルに達するとされています。しかしながら、この分野における代表的な製薬メーカーであるGalectin therapeuticsは、売上は未だにゼロ(売れるものがまだ出来上がっていない)のようですし、市場を開花させるには、更なる研究開発が必要になりそうです。