根圏細菌を「見える化」することで環境再生型農業実現の指標作りを目指す

この度は大変お忙しい中、農業WEEK東京展での弊社ブースにお越し頂きありがとうございます。

ブースでは根圏細菌を簡易、安価、短時間で「見える化」することが出来る光バイオームセンサーをご説明させて頂きましたが、ご参考になれば幸いでございます。
ご不明点がございましたら、お気軽にこちらのメールアドレス(info@emukk.com)へお問い合わせください。

今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。

中胚葉特異的転写ホモログタンパク質(MEST)の糖鎖修飾異常(脱フコシル化)が妊娠不全と関係している

Liaoning Provincial Core Lab of Glycobiology and Glycoengineering, College of Basic Medical Science, Dalian Medical University, Dalian, Chinaらのグループは、中胚葉特異的転写ホモログタンパク質(MEST)の糖鎖修飾異常(脱フコシル化)が妊娠不全と関係していると報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41419-023-06166-4

レクチンマイクロアレイを用いることにより、通常の妊婦と比較して、流産患者の絨毛組織において、α1,3-フコースの減少、特にLewis Y(LeY:Fuc α1-2 Gal-β1-4[Fuc α1-3]GlcNAcβ1)型糖鎖において、が発生していることが発見されました。そして、MEST上のLeYの脱フコシル化によって、MESTと真核生物開始因子(eIF4E2)の結合が妨げられ、着床関連遺伝子翻訳が阻害され、妊娠不全につながるという新たな証拠が示されました。

PEG1とも呼ばれるMESTは、α/β ヒドロラーゼ スーパーファミリーに属します。 母性インプリント遺伝子として、MESTは胎児の発育期間を通じて広く発現しています。 MEST は、胎児の成長だけでなく、胚と胎盤の発育にも重要な役割を果たします。不適切なMESTの発現は、ヒトにおける早期自然流産や重度の胎児異常(発育異常、低出生体重、代謝障害など) の増加と関係していることが知られています。

豚鞭虫の排泄ー分泌物のN-型糖鎖と免疫系との相互作用

Institut für Biochemie, Department für Chemie, Universität für Bodenkultur, Wien, Austriaらのグループは、豚鞭虫のN-型糖鎖と免疫系の相互作用について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10542551/

本研究では、豚線虫寄生虫(豚鞭虫)由来のN-型糖鎖 (27 種) を用いた天然型糖鎖マイクロアレイを開発し、これらの糖鎖とC-型レクチン (DC-SIGN、Dectin-2、MGL) などとの相互作用が評価されています。得られた N-型糖鎖は、ホスホリルコリン修飾含む、または含まないフコシル化LacdiNAc構造 (bi/tri/tetra-anttenary) とホスホリルコリン修飾を受けたオリゴマンノース構造でした。

DC-SIGNは、かなり広範囲のオリゴマンオースおよびフコシル化糖鎖を認識しましたが、コントロールとして用いられたMan5-9GlcNAc2にも良く結合しています。
Dectin-2は、他の自然免疫系レクチンと比較して本アレイ上では結合が非常に弱くなっています。
MGLは、LacdiNAc含有リガンドのホスホリルコリン修飾の存在に関係なく、大部分の本糖鎖構造に結合していました。

エクソソームを用いた癌マーカーの開発にレクチンマイクロアレイやレクチン関連技術は今後も重要であり続ける

Department of Life Technologies, Division of Biotechnology, University of Turku, Finlandらのグループは、そのレビュー論文において、レクチンマイクロアレイやレクチン関連技術はエクソソームからのバイオマーカー探索、標的化、分離らにおいて、今後共重要であり続けると述べています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37773167/

エクソソームの分野は過去10年間で急速に成長してきています。 エクソソームを用いた癌マーカーの発見では大きな進歩が見られましたが、これらの発見を臨床実践 (治療法を含む) に応用するには、幾つかの課題が存在しています。これらには、エクソソームの分離と検出に関する技術的課題の克服は勿論、エクソソームの放出と標的細胞によるエクソソームの取り込みを制御する分子機構についての更なる理解も求められます。
これらの各分野では、糖鎖修飾が進歩の鍵を握っており、レクチンベースのアプローチは、その特異性と社会実装の容易さ故に、トップランナーであり続けるでしょう。

一部のレクチンは、複数の糖鎖構造に対して重複する結合親和性と特異性を持っているため、目的の糖鎖構造を正確に同定することが困難です。これらの曖昧さはアッセイ結果に影響を与え、偽陽性または偽陰性の結果を招いてしまいます。このような制限にもかかわらず、レクチン、レクチンマイクロアレイ、およびレクチンベースの方法は、間違いなく糖鎖研究における貴重なツールであり続けます。これらの課題のいくつかを克服するには、MSやHPLCなどの他の技術と組み合わせることが、詳細な糖鎖構造とその応用をより深く理解するのに役立ちます。更に、糖鎖マイクロアレイ技術は、糖鎖相互作用とその機能を体系的に研究するために補完的な役割を担います。

レクチンと糖鎖との相互作用から正確かつ信頼性の高い結果を得るには、 競合阻害、 糖鎖構造の修飾変化、または異なる糖鎖結合特異性を示すように改変されたレクチンとの比較を通じて、この相互作用を検証することが重要です。このような組合せ的なアプローチを使用することによって、偽陽性または偽陰性の結果を回避し、それが糖鎖を介した相互作用であることを具体的に証拠として示すことが可能になります。

6-sulfo sialyl Lewis x 糖鎖に対する新規モノクローナル抗体について

千葉大学薬学部らのグループは、6-sulfo sialyl Lewis x 糖鎖に対する新規モノクローナル抗体を開発しました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10514285/

抗6-sulfo sialyl Lewis x mAbを取得する為に、GlcNAc6ST-1/-2 DKOマウスを、Cmahをコードする発現ベクターで一時的にトランスフェクトされた6-sulfo sialyl Lewis xを安定的に発現するCHO細胞で免疫しました。

SF1と名付けられた本抗体を、CFG 糖鎖マイクロアレイにアプライし、SF1の糖鎖結合特異性を詳細に決定しました。以下のように、SF1 がアレイ上の全糖鎖のうち 6-sulfo sialyl Lewis x(糖鎖 #253)に特異的に結合することが確認されました。

リンパ球の末梢リンパ節へのホーミングは、リンパ球の表面に発現するホーミング受容体であるL-セレクチンと、内皮細静脈の表面に発現する6-sulfo sialyl Lewis xとの間の相互作用に大きく依存しています。 SF1 はリンパ球のホーミングを大幅にブロック出来る為、SF1 を使用した今後の研究により、関節リウマチ、シェーグレン症候群、潰瘍性大腸炎などの疾患における 6-sulfo sialyl Lewis xの役割についての理解が進むものとして期待されます。

ST3GAL5を高発現するがん細胞から分泌されるエキソソームが、がんの腹膜播種を促進する

秋田大学医学部らのグループは、ラクトシルセラミド α-2,3-シアリル糖転移酵素(ST3G5)が、ST3G5が高発現しているがん細胞から分泌されるエキソソームによって媒介される腹膜播種を予防するための適切な創薬標的となる可能性があると述べています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37716915/

本論文では、腹膜乳状斑点におけるエクソソームによって媒介される前転移微小環境におけるST3G5(ST3GAL5 およびGM3合成酵素とも呼ばれる) の役割について研究が行われています。

ST3G5が高発現するがん細胞(ST3G5high-cExos)から分泌されるエクソソームには、高レベルの低酸素誘導因子1-α(HIF1α)と解糖系酵素が含まれており、シアル酸結合性のGM3受容体であるCD169(Siglec1とも呼ばれる)の発現上昇によるマクロファージでの取り込みを介して、腹膜乳状斑点に蓄積されることが判明しました。CD169の発現上昇は、正のフィードバックループを介して更なるエクソソームの取り込みを促進します。
尚、GM3は、ST3G5によるシアル酸のラクトシルセラミドへの転移修飾によって形成されるガングリオシドファミリー生合成における最初の分子で、細胞の接着、増殖、および遊走を調節することが知られており、HIF1αは、腹膜乳状斑点における免疫チェックポイント分子(PD-L1)の発現を増加させることが分かりました。

これらの結果は、ST3G5 が一部の癌における腹膜播種を予防するための有望な創薬標的に成り得ることを示唆しています。

シロイヌナズナにトリコデルマ菌を接種した系をモデルとして、そのマルチ・オミックス評価を行った

Department for Sustainable Food Process, CRAST Research Centre, Università Cattolica del Sacro Cuore, Piacenza, Italyらのグループは、植物の生理的反応、メタボロームレベルでの分子挙動、根圏細菌叢の変化を包括的に取り扱いながら、高温、干ばつ、およびそれらの複合的なストレスがトリコデルマ菌を接種したシロイヌナズナに与える影響について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10484583/#B19

トリコデルマ菌で処理された植物は、干ばつや高温ストレス下でも生のバイオマスが増加することを特徴としており、観察される生のバイオマスの増加が主に植物組織内の水分の蓄積によるものであることが分かっています。

トリコデルマ菌を接種すると、窒素含有代謝物(アルカロイドやポリアミンを含む)、フェニルプロパノイド、ファイトアレキシン、ターペン、グルコシノレートらの二次代謝物の産生が増加します。トリコデルマ菌の接種により、植物ホルモンであるオーキシン関連物質(すなわち、インドール-3-アセトアルデヒド、インドール-3-カルボキシアルデヒド、およびインドール-3-エタノール)、揮発性有機化合物、および短鎖ペプチドらも高発現することが分かりました。また、トリコデルマ菌の接種によって、環境ストレスの状況に応じて、土壌及び根圏細菌の量とその構成が変化していました。プロテオバクテリアは根と土壌で最も優勢であり、平均して根圏では89.6%、土壌では59.4% を占めていました、土壌サンプル中のプロテオバクテリアに加えて、最も豊富な門のひとつはバクテロイデス属と放線菌でした。

これらのことより、植物とその根圏細菌間の複雑な動的相互作用を理解するには、ホロビオント的なアプローチ、つまりマルチ・オミックス的アプローチが必要であると結論付けています。

抗生物質に対する耐性を得たヘリコバクター・ピロリに対するConA-キトサンナノ粒子DDSの検証

Tissue Engineering and Regenerative Medicine Research Center, Baqiyatallah University of Medical Sciences, Tehran, Iranらのグループは、抗生物質に対する耐性を得るに至ったヘリコバクター・ピロリに対するConAでコートしたキトサン(CS)ナノ粒子を用いたペプチド薬(CM11)のDDSについて報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10471652/

ヘリコバクター・ピロリは胃潰瘍のほとんどの原因であり、胃がんの原因にもなります。抗生物質耐性を得るに至ったピロリ菌株の出現と蔓延は、ピロリ菌感染症の治療における最も重要な課題の ひとつとなっています。

CSは、イオンチャネルゲル化法を適用することにより、CM11のためのカプセル化剤として使用されました。 ConAは、ピロリ菌を標的とする CSナノ粒子のコーティングに使用されました。CS NPおよびConA-CS NPのサイズ頻度は約 200 nm および 350 nm でした。

薬剤耐性ピロリ菌SS1 株に対する遊離CM11ペプチドの最小発育阻止濃度 (MIC) は16 μg/ml でしたが、薬剤耐性ピロリ菌SS1 はクラリスロマイシンとアモキシシリンに対して、MICがそれぞれ64μg/ml、128 μg/ml以上 でした。ナノ粒子にカプセル化したペプチド濃度は、MIC濃度の2 倍 (32 µg/ml) としました。

CM11含有ConA-CS NPは、それぞれCM11含有CS NPおよび遊離CM11ペプチドと比較して、より高い抗菌能力を有することが確認されました。 CM11含有ConA-CS NPと3剤抗生物質混合物による治療との間に有意差はなかったが、これは、3剤抗生物質療法と同様の同じ効果があることを示しています。 CM11含有ConA-CS NP および CM11含有CS NP は、12 時間後に薬剤耐性ピロリ菌SS1 を大幅に減少させましたが、アモキシシリンとクラリスロマイシンには殺傷効果がなく、増殖傾向はコントロールと同じでした。 CM11含有ConA-CS NPと 3種類の抗生物質の混合物は、薬剤耐性ピロリ菌SS1を24 時間以内に死滅させることができましたが、遊離ペプチドとCM11含有CS NP の場合は 48 時間後でした。

心筋虚血再灌流障害によって誘起されるミトコンドリアタンパク質の糖鎖修飾変化をレクチンマイクロアレイにて評価した

Department of Cardiac and Pan-Vascular Diseases, Xi’an People’s Hospital (Xi’an Fourth Hospital), Xi’an, Chinaらのグループは、心筋虚血再灌流障害によって誘起されるミトコンドリアタンパク質の糖鎖修飾変化をレクチンマイクロアレイにて評価しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10439394/

心筋虚血再灌流障害は、心臓手術後の心臓の構造と機能の回復に重大な影響を与え、 虚血再灌流障害は現在の臨床治療における大きな障害となっています。重度の心筋虚血によって、心筋細胞の代謝は嫌気性解糖によって支配され、酸性生成物の蓄積とATPの枯渇が引き起こされます。再灌流後、活性酸素種の蓄積とCa2+ 過負荷が誘発され、ミトコンドリア透過性遷移孔 (mPTP) の開口が起こり、さらに電子伝達鎖の破壊とATP産生の減少が起こります。 mPTPが開くと、マトリックスタンパク質とミトコンドリアDNAが細胞質に放出されます。このプロセスはミトコンドリアの膜電位を破壊し、酸化的リン酸化が停止し、ATP消費の増加に繋がります。 Ca2+の過剰と酸素ラジカルの生成の増加は、炎症と血栓症を更に活性化し、ミトコンドリア呼吸の破壊、マトリックスの膨張、ミトコンドリア膜の破裂を引き起こし、ミトコンドリアの損傷と細胞死に繋がります。

本研究では、虚血再灌流障害によるミトコンドリアタンパク質の糖鎖修飾の変化をレクチンマイクロアレイを用いて評価しており、45分間の虚血により、LTLおよびSNAによって認識される糖鎖構造の発現が有意に増加し、ECAによって認識される糖鎖構造が有意に減少していることが分かりました(LTLはTerminal Fucoseを認識し、ECAはGalβ1‐4GlcNAc/GalNAcを認識しますが、シアル酸が修飾されるとECAの信号は減少します)。更なる分析により、SNAによって認識されるSiaα2-6Gal/GalNAc構造が大幅に増加していることも示されました。

Glyco26番外編:台北の秋葉原、光華商場と光華国際電子広場

台湾はTSMCをはじめ世界最先端の半導体ファンドリーメーカーが存在し、電子部品の製造供給ではなくてはならない存在となっています。弊社のGlycoStationにも台湾製のデバイスが多数使われています。そんな台北には、「台北の秋葉原」と呼ばれる場所が存在します。

MRTの忠孝新生駅が最寄り駅であり、徒歩圏内に多数の電子部品のショップがあります。中でも有名なのが「光華商場」ですが、電子部品では「光華国際電子広場という地下街」の方が品揃えが多いように思います。この二つの場所を下記の地図に示します。

その実際の「光華国際電子広場」のお店の感じを幾つか写真をアップしてご紹介します。

一方の「光華商場」は、6階建てのビルであり、多数のショップが入居していますが、一階はパソコンを中心にした完成品販売のフロアーとなっており、上階は電子部品が中心ですが上階に上がるほど休業状態のお店が増えており、寂れた感じがします。部品を探すなら、絶対「光華国際電子広場」の方が良いです。一階は、台湾を代表する電子機器メーカーのASUS、Acer、MSiらの販売ショップが並んでいます。

秋葉原のヨドバシカメラやソフマップ、それに秋葉原ラジオ会館らの方が良さげです(笑)。