中胚葉特異的転写ホモログタンパク質(MEST)の糖鎖修飾異常(脱フコシル化)が妊娠不全と関係している

Liaoning Provincial Core Lab of Glycobiology and Glycoengineering, College of Basic Medical Science, Dalian Medical University, Dalian, Chinaらのグループは、中胚葉特異的転写ホモログタンパク質(MEST)の糖鎖修飾異常(脱フコシル化)が妊娠不全と関係していると報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41419-023-06166-4

レクチンマイクロアレイを用いることにより、通常の妊婦と比較して、流産患者の絨毛組織において、α1,3-フコースの減少、特にLewis Y(LeY:Fuc α1-2 Gal-β1-4[Fuc α1-3]GlcNAcβ1)型糖鎖において、が発生していることが発見されました。そして、MEST上のLeYの脱フコシル化によって、MESTと真核生物開始因子(eIF4E2)の結合が妨げられ、着床関連遺伝子翻訳が阻害され、妊娠不全につながるという新たな証拠が示されました。

PEG1とも呼ばれるMESTは、α/β ヒドロラーゼ スーパーファミリーに属します。 母性インプリント遺伝子として、MESTは胎児の発育期間を通じて広く発現しています。 MEST は、胎児の成長だけでなく、胚と胎盤の発育にも重要な役割を果たします。不適切なMESTの発現は、ヒトにおける早期自然流産や重度の胎児異常(発育異常、低出生体重、代謝障害など) の増加と関係していることが知られています。