エクソソームを用いた癌マーカーの開発にレクチンマイクロアレイやレクチン関連技術は今後も重要であり続ける

Department of Life Technologies, Division of Biotechnology, University of Turku, Finlandらのグループは、そのレビュー論文において、レクチンマイクロアレイやレクチン関連技術はエクソソームからのバイオマーカー探索、標的化、分離らにおいて、今後共重要であり続けると述べています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37773167/

エクソソームの分野は過去10年間で急速に成長してきています。 エクソソームを用いた癌マーカーの発見では大きな進歩が見られましたが、これらの発見を臨床実践 (治療法を含む) に応用するには、幾つかの課題が存在しています。これらには、エクソソームの分離と検出に関する技術的課題の克服は勿論、エクソソームの放出と標的細胞によるエクソソームの取り込みを制御する分子機構についての更なる理解も求められます。
これらの各分野では、糖鎖修飾が進歩の鍵を握っており、レクチンベースのアプローチは、その特異性と社会実装の容易さ故に、トップランナーであり続けるでしょう。

一部のレクチンは、複数の糖鎖構造に対して重複する結合親和性と特異性を持っているため、目的の糖鎖構造を正確に同定することが困難です。これらの曖昧さはアッセイ結果に影響を与え、偽陽性または偽陰性の結果を招いてしまいます。このような制限にもかかわらず、レクチン、レクチンマイクロアレイ、およびレクチンベースの方法は、間違いなく糖鎖研究における貴重なツールであり続けます。これらの課題のいくつかを克服するには、MSやHPLCなどの他の技術と組み合わせることが、詳細な糖鎖構造とその応用をより深く理解するのに役立ちます。更に、糖鎖マイクロアレイ技術は、糖鎖相互作用とその機能を体系的に研究するために補完的な役割を担います。

レクチンと糖鎖との相互作用から正確かつ信頼性の高い結果を得るには、 競合阻害、 糖鎖構造の修飾変化、または異なる糖鎖結合特異性を示すように改変されたレクチンとの比較を通じて、この相互作用を検証することが重要です。このような組合せ的なアプローチを使用することによって、偽陽性または偽陰性の結果を回避し、それが糖鎖を介した相互作用であることを具体的に証拠として示すことが可能になります。