関節リューマチにおける滑膜線維芽細胞のα2-6シアル酸修飾の変化と関節の炎症について

University of Glasgow, UKらのグループは、関節リューマチにおける滑膜線維芽細胞(Synovial fibroblasts:SFs)のα2-6シアル酸修飾の変化と関節の炎症について、踏み込んだ研究をしています。
https://www.nature.com/articles/s41467-021-22365-z

関節リューマチを発症すると、IgGの糖鎖修飾がアガラクト型に変化する、TNFαが増加するというような事象は良く知られています。
著者らは、滑膜繊維芽細胞の糖鎖修飾の変化をレクチンとMSを用いて詳細に評価しており、N型糖鎖、O型糖鎖ともにシアル酸修飾が減少することを示しています。シアル酸の減少は、α2-3Siaではなく、α2-6Siaで顕著に発生していました。更に、α2-6Siaの減少の度合いは、病態の進行度とも相関していました。このα2-6Siaの減少は、TNFαによって直接的に誘起されており、他のサイトカイン(IL-1, IL-17ら)は関与していないことも示されました。

興味深いのは、α2-6Siaの減少が滑膜繊維芽細胞の活性化に主体的に関わっているのか?進行する炎症の間接的な結果なのか?という疑問であります。著者らは、α-6SiaをsiRNAを用いてサイレンシングさせると、IL-6やCcL2の産生が増加することを示しました。これは治療方針にも関わるとても意義深いことであると考えられます。

下図において、CIAとは、Collagen-induced arthritisのこと。