病原性細菌類の初期付着および凝集を防止するための非殺生物性表面活性多糖類の特徴とは

Institut Pasteur Université Paris Cité, CNRS UMR 6047, Genetics of Biofilms laboratory, Paris, Franceらのグループは、病原性細菌類の初期付着および凝集を防止するための非殺生物性表面活性多糖類について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10156666/

細菌のバイオフィルムは、広範囲に表面付着して凝集した細菌群を形成し、医療用または工業用の表面で発生すると、人間の活動に悪影響を与えます。抗生物質に対する耐性が高いため、バイオフィルムを根絶することは困難であり、バイオフィルム関連感染の防止は、健康上および経済上の主要な問題となっています。バイオフィルムの形成を防ぐための戦略は、多くの場合、広域スペクトルの抗生物質や重金属などの殺生物剤で表面をコーティングして、細菌の付着の初期段階を阻害することです。これらの殺生物的アプローチは、死んだバクテリアや有機物の破片が急速に蓄積することによって、コーティングされた表面の新しい細菌への阻害活性が低下することが問題です。

本研究では、その組成と構造が知られている31種類のグラム陽性およびグラム陰性細菌の莢膜多糖類のパネルを用いて、その抗バイオフィルム活性が調べられました。それらの中で、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの典型的な院内病原菌によるバイオフィルム形成を阻害する9つの新しい非殺生物性多糖類が発見されました。

これらの多糖類の詳細な分析を通じて、多糖類が抗バイオフィルム活性を示すには、その緩い構造(すなわち、多数の多糖類構造内の空隙による大きな透過性)と高密度の負に帯電した静電荷の存在が重要せあることが示されました。。