IL-1R7 抗体がCOVID-19の治療薬として有効かもしれない

University of Colorado Denver Anschutz Medical Campusのグループは、COVID-19の治療薬としてIL-1R7抗体を提案しています。
https://www.jbc.org/article/S0021-9258(21)00416-6/fulltext

マクロファージが異常に活性化(MAS: Macrophage Activated Syndrome)すると、致死率の高い重症に陥ることがあります。新型コロナウイルス(COVID-19)のサイトカインシンドロームがまさにその典型です。
IL-1ファミリーに属するInterleukin-18 (IL-18)が、MASやCOVID-19で高発現し、そのレベルが重症度と相関していることが知られています。

IL-18 は、 IL-1 Receptor 5 (IL-1R5, IL-18 Receptor alpha chain)に結合し、共受容体である IL-1 Receptor 7 (IL-1R7, IL-18 Receptor beta chain)もリクルートします。
著者らは、IL-1R7抗体がIL-18によって介在される NFκB の活性化、IFNγの産生、そして IL-6の産生を阻害することができることを示しました。

日本におけるCOVID-19患者のSARS-CoV-2 IgG抗体の血清陽性率状況

順天堂大学のグループは、34名という小規模なコホートながら、日本におけるCOVID-19感染患者のSARS-CoV-2特異的IgG, IgM抗体の血清陽性率状況を報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8023454/

chemiluminescent microparticle immunoassay (CMIA)-based SARS-CoV-2 IgG test (cat. # 06R90, Abbott) を用いた場合
重症/重篤者の場合:症状発症後1週間以内=40%、1~2週間=88%、2週間後=100%、
軽症/中症者の場合:症状発症後1週間以内=0%、1~2週間=38%、2週間後=100%、
となりました。

IC IgG antibody assay using the Anti-SARS-CoV-2 Rapid Test (cat. # RTA0203, AutoBio) を用いた場合
重症/重篤者の場合:症状発症後1週間以内=60%、1~2週間=63%、2週間後=100%、
軽症/中症者の場合:症状発症後1週間以内=17%、1~2週間=63%、2週間後=100%、
となりました。

これらの結果は、症状発症後14日、呼吸困難のない軽度の症状の患者を含み、PCRの補完検査としてIgG抗体検査をCOVID-19の診断に使うことができることを示しています。
しかし、このコホートは小規模であり、無症状者を含んでいないので、更なる大規模なコホート研究が必要だと思われます。

SARS-CoV-2 Spikeタンパク質のSite-specificな糖鎖修飾の違いについて

University of Southamptonらのグループは、SARS-CoV-2のSpikeタンパク質(All recombinant)について、糖鎖の修飾状態がどのように違うか?について、5つの研究機関のサンプルを比較しています。
使用されている細胞株は下記のようです。
HEK293: Amsterdam, Harvard,
HEK293F: Southampton/Texas,
HEK293T: Oxford,
CHO: Swiss,
糖鎖修飾が宿主細胞の違いや培養条件の違いを反映して(?)、かなり研究機関毎に異なっていることが分かります。
基本的には、Oligo mannoseと複合型のN-型糖鎖が発現しています。

ブログ管理人にとっての興味は、この違いが、SARS-CoV-2の感染力にどの程度の違いをもたらしているか?更には変異が入った時に、糖鎖修飾がどの程度変化を受けているか?そしてそれがどの程度感染力に影響しているか?という課題です。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.03.08.433764v1.full

カクテル抗体(REGN-COV2)は、B.1.1.7, B1.351, P.1変異株の影響を受けない、しかし、Pfizer BNT162b2ワクチン接種での有効性はB.1.351, P.1に対しては低下する 

German Primate Center, Göttingenらのグループは、COVID-19の主要な変異体に対する各種抗体(Casirivimab, Bamlanivimab, Imdevimab)及びカクテル抗体 (REGN-COV2: Casirivimab, Imdevimabを含む)の有効性、更にはPfizer BNT162b2ワクチンのそれら変異体に対する有効性を報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7980144/

カクテル抗体(REGN-COV2)は、すべてのvariants (B.1.1.7, B.1.351, P.1)のSタンパク質によって媒介される侵入を効率的に阻害しました。しかし、REGN10989およびBamlanivimabは、B.1.351およびP.1 varinatsのSタンパク質に対しては有効性が低下することが示されました。

一方、Pfizer BNT162b2ワクチンは、SARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするmRNAに基づいており、COVID-19に対して有効なワクチンとされています。BNT162b2で2回免疫した15人のドナーからの血清の中和活性を測定した結果は、WT Sタンパク質によって引き起こされる感染を効率的に阻害し、B.1.1.7変異体のSタンパク質によって引き起こされる感染阻害はわずかに減少しただけでした。しかし、15の血清のうち12は、B.1.351およびP.1変異体のSタンパク質によって引き起こされる感染阻害が著しく低下しました。

COVID-19の胸部CT画像のDeep Learningを用いた診断精度

Sejong University, Seoulらのグループは、新型コロナウイルス(COVID-19)の診断に使われる胸部CT画像に対して、Deep Learningを適用し、COVID-19の診断精度を議論しています。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0249450

Deep Learningに使用されるNeural Networkは20層の構成であり、畳み込みとプーリングを組み合わせて構成されています。入力画像の解像度は、(224 x 224)であり、畳み込みは、(3 x 3)或いは(5 x 5)が使用されています。得られたCOVUID-19の全体的な診断精度は、99.83%(感度=0.9286、特異度=0.991)に達したとのことです。今後は、診断分野へのAI(Deep Learning)の投入が加速していくと思われます。

SARS-CoV-2 Spikeタンパク質をナノ粒子化したワクチンを用いることで、変異に強い広域中和抗体の生成を促すことができる

The Scripps Research Instituteは、SARS-CoV-2 Spikeタンパク質のナノ粒子を用いることで、ウイルスの変異にも強い広域中和抗体を作ることができるとしています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8010731/

現在のワクチンの主流は、recombinant SARS-CoV-2 spikeを抗原として提示する形のプラットフォームであり、mRNAを包含したリポソーム (例えば, BNT162b2 や mRNA-1273)、アデノ随伴ウイルス・ベクターを用いたもの (例えば, ChAdOx1 nCoV-19 [AZD1222], CTII-nCoV, Sputnik V, や Ad26.COV2.S)らが存在します。これらのワクチンは、B.1.1.7変異についてはまだしも、B.1.351やP.1変異に対しては、有効性が顕著に低下することが指摘されています。従って、ウイルス変異に強い広域中和抗体を作ることが出来るワクチンが切望されており、その為には、成熟した抗体を長期間にわたって生み出せる胚中心の形成が必要不可欠です。

SARS-CoV-2 spikeタンパク質は、S1-S2ヘテロダイマーの三量体を形成しています。S1 subunitには、感染をイニシエートするRBDが含まれており、S2 subunitには、fusion peptide (FP) と heptad repeat regions 1 と 2 (HR1 と HR2)が含まれています。著者らは、Spikeタンパク質の安定性を高めるためにHR2-deleted, glycine-cappedのspikeタンパク質をデザインし (S2GΔHR2)、I3–01v9 60-mersをリンカーとしてナノ粒子化したS2GΔHR2-10GS-I3-01v9-LD7-PADRE (I3-01v9-L7P)をワクチンとして使用しました。I3-01v9-L7Pには、20個のS2GΔHR2が含まれています。

S2GΔHR2-10GS-I3-01v9-L7Pをワクチンとして使用することで、B.1.1.7, B.1.351, P.1 変異に対してほぼコンパチブルな力価を有する広域中和抗体が生成されていることがわかりました。このナノ粒子は、単体Spikeに比べて、6倍長い保持時間、4倍大きい濾胞樹状細胞群、5倍高い胚中心の活動を示しました。この理由については、定かではありませんが、ワクチンのサイズ効果だと推測されます。

Human C-Type LectinであるCLEC18Aを遺伝子導入した蚊のデングウイルス感染増殖抑制効果

National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwanらのグループは、ヒトのC-type LectinであるCLEC18Aを導入した熱帯縞蚊を作り、デングウイルスの感染抑制効果を確認しました。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2021.640367/full

ヒトのC-type lectinであるCLEC18Aは、デングウイルス(DENV)に特異的な糖鎖に結合し(詳細な糖鎖結合特性構造は不明、C-type lectinは、一般的にhigh mannose, Gal/GalNAcを認識する)、Type I Interferonの分泌を促し、自然免疫における主要なプレーヤーの一つです。CLEC18Aを発現させた熱帯縞蚊においては、下図のようにDENVの感染増殖が70%ほど抑制されることが示されました。このことは、遺伝子改変した蚊を使うことで、DENVの蔓延を抑制できる可能性があることを示唆します。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の紫外線照射による不活化について

University of Milanらのグループは、SARS-CoV-2の紫外線(UV-C: 254nm)照射によるウイルスの不活化について報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-021-85425-w

V6細胞を標的として、感染多重度(MOI)0.05、5、1000のいずれかでSARS-CoV-2が投与されたサンプルに対して紫外線を照射しています。0.05 MOIは低レベルのウイルス汚染に相当し、5 MOIはウイルス感染した患者の唾液に見られる平均濃度、1000 MOIは非常に高い濃度であり、末期のCOVID-19患者で観察された濃度に対応します。
0.05 MOIから5 MOIの領域では、4MJmJ/cm2と非常に弱い紫外線でウイルスの完全な不活性化が達成できました。最高のウイルス入力濃度(1000 MOI)でも、16.9 mJ/cm2以上の線量で完全に不活化されました。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するPfizer (BNT162b2) /Moderna (mRNA-1273) ワクチン投与後の縦断的評価から

University of Pennsylvania Perelman School of Medicineのグループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するPfizer (BNT162b2) /Moderna (mRNA-1273) ワクチン投与後の縦断的評価結果を報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7941668/

  1. ワクチンの接種によって、SARS-CoV-2に過去にかかった人も、未経験の人も、同様に抗体レベルを高めることができる
  2. しかし、SARS-CoV-2に過去にかかった人は、二回目のワクチン接種で追加の効果はほとんどない
  3. SARS-CoV-2未経験の人は、二回目のワクチン接種で抗体レベルは更に高まる
  4. ワクチン接種の効果は年齢に関わらず現れるが、抗体レベルは年齢と共に減少する傾向がある
  5. SARS-CoV2未経験の人では、ワクチン接種後の抗体レベルとメモリーB細胞の間に相関関係が認められない
  6. SARS-CoV-2に過去にかかった人では、ワクチン接種後の抗体レベルとメモリーB細胞の間に相関関係が認められる
  7. ワクチンによって誘発されたメモリーB細胞応答を調べることの重要性を示している

つまり、過去にSARS-CoV-2にかかった人は、ワクチン接種は1回でも良さそうで、未経験の人は必ず2回接種は受けるべきですね。

変異の激しいRNAウイルスには、やはりカクテル抗体が有効:SARS-CoV-2のケース

Fred Hutchinson Cancer Research Centerらのグループは、SARS-CoV-2のRBDに対する二種のモノクロナール抗体(LY-CoV555, LY-CoV016)について、発生した変異の影響を調べています。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.02.17.431683v1

LY-CoV016は、K417N変異には非常に弱く、LY-CoV555は、E484K変異には非常に弱いことが分かります。両方とも1,000倍以上IC50の値が増加しています。従って、異なったSARS-CoV-2のエピトープを持つ抗体を幾つか組み合わせてカクテル抗体とすることで、SARS-CoV-2の変異に強い治療薬とすることができるであろうことを本研究は如実に示しています。

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