COVID-19の胸部CT画像のDeep Learningを用いた診断精度

Sejong University, Seoulらのグループは、新型コロナウイルス(COVID-19)の診断に使われる胸部CT画像に対して、Deep Learningを適用し、COVID-19の診断精度を議論しています。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0249450

Deep Learningに使用されるNeural Networkは20層の構成であり、畳み込みとプーリングを組み合わせて構成されています。入力画像の解像度は、(224 x 224)であり、畳み込みは、(3 x 3)或いは(5 x 5)が使用されています。得られたCOVUID-19の全体的な診断精度は、99.83%(感度=0.9286、特異度=0.991)に達したとのことです。今後は、診断分野へのAI(Deep Learning)の投入が加速していくと思われます。

SARS-CoV-2 Spikeタンパク質をナノ粒子化したワクチンを用いることで、変異に強い広域中和抗体の生成を促すことができる

The Scripps Research Instituteは、SARS-CoV-2 Spikeタンパク質のナノ粒子を用いることで、ウイルスの変異にも強い広域中和抗体を作ることができるとしています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8010731/

現在のワクチンの主流は、recombinant SARS-CoV-2 spikeを抗原として提示する形のプラットフォームであり、mRNAを包含したリポソーム (例えば, BNT162b2 や mRNA-1273)、アデノ随伴ウイルス・ベクターを用いたもの (例えば, ChAdOx1 nCoV-19 [AZD1222], CTII-nCoV, Sputnik V, や Ad26.COV2.S)らが存在します。これらのワクチンは、B.1.1.7変異についてはまだしも、B.1.351やP.1変異に対しては、有効性が顕著に低下することが指摘されています。従って、ウイルス変異に強い広域中和抗体を作ることが出来るワクチンが切望されており、その為には、成熟した抗体を長期間にわたって生み出せる胚中心の形成が必要不可欠です。

SARS-CoV-2 spikeタンパク質は、S1-S2ヘテロダイマーの三量体を形成しています。S1 subunitには、感染をイニシエートするRBDが含まれており、S2 subunitには、fusion peptide (FP) と heptad repeat regions 1 と 2 (HR1 と HR2)が含まれています。著者らは、Spikeタンパク質の安定性を高めるためにHR2-deleted, glycine-cappedのspikeタンパク質をデザインし (S2GΔHR2)、I3–01v9 60-mersをリンカーとしてナノ粒子化したS2GΔHR2-10GS-I3-01v9-LD7-PADRE (I3-01v9-L7P)をワクチンとして使用しました。I3-01v9-L7Pには、20個のS2GΔHR2が含まれています。

S2GΔHR2-10GS-I3-01v9-L7Pをワクチンとして使用することで、B.1.1.7, B.1.351, P.1 変異に対してほぼコンパチブルな力価を有する広域中和抗体が生成されていることがわかりました。このナノ粒子は、単体Spikeに比べて、6倍長い保持時間、4倍大きい濾胞樹状細胞群、5倍高い胚中心の活動を示しました。この理由については、定かではありませんが、ワクチンのサイズ効果だと推測されます。

Human C-Type LectinであるCLEC18Aを遺伝子導入した蚊のデングウイルス感染増殖抑制効果

National Health Research Institutes, Miaoli, Taiwanらのグループは、ヒトのC-type LectinであるCLEC18Aを導入した熱帯縞蚊を作り、デングウイルスの感染抑制効果を確認しました。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2021.640367/full

ヒトのC-type lectinであるCLEC18Aは、デングウイルス(DENV)に特異的な糖鎖に結合し(詳細な糖鎖結合特性構造は不明、C-type lectinは、一般的にhigh mannose, Gal/GalNAcを認識する)、Type I Interferonの分泌を促し、自然免疫における主要なプレーヤーの一つです。CLEC18Aを発現させた熱帯縞蚊においては、下図のようにDENVの感染増殖が70%ほど抑制されることが示されました。このことは、遺伝子改変した蚊を使うことで、DENVの蔓延を抑制できる可能性があることを示唆します。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の紫外線照射による不活化について

University of Milanらのグループは、SARS-CoV-2の紫外線(UV-C: 254nm)照射によるウイルスの不活化について報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-021-85425-w

V6細胞を標的として、感染多重度(MOI)0.05、5、1000のいずれかでSARS-CoV-2が投与されたサンプルに対して紫外線を照射しています。0.05 MOIは低レベルのウイルス汚染に相当し、5 MOIはウイルス感染した患者の唾液に見られる平均濃度、1000 MOIは非常に高い濃度であり、末期のCOVID-19患者で観察された濃度に対応します。
0.05 MOIから5 MOIの領域では、4MJmJ/cm2と非常に弱い紫外線でウイルスの完全な不活性化が達成できました。最高のウイルス入力濃度(1000 MOI)でも、16.9 mJ/cm2以上の線量で完全に不活化されました。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するPfizer (BNT162b2) /Moderna (mRNA-1273) ワクチン投与後の縦断的評価から

University of Pennsylvania Perelman School of Medicineのグループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するPfizer (BNT162b2) /Moderna (mRNA-1273) ワクチン投与後の縦断的評価結果を報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7941668/

  1. ワクチンの接種によって、SARS-CoV-2に過去にかかった人も、未経験の人も、同様に抗体レベルを高めることができる
  2. しかし、SARS-CoV-2に過去にかかった人は、二回目のワクチン接種で追加の効果はほとんどない
  3. SARS-CoV-2未経験の人は、二回目のワクチン接種で抗体レベルは更に高まる
  4. ワクチン接種の効果は年齢に関わらず現れるが、抗体レベルは年齢と共に減少する傾向がある
  5. SARS-CoV2未経験の人では、ワクチン接種後の抗体レベルとメモリーB細胞の間に相関関係が認められない
  6. SARS-CoV-2に過去にかかった人では、ワクチン接種後の抗体レベルとメモリーB細胞の間に相関関係が認められる
  7. ワクチンによって誘発されたメモリーB細胞応答を調べることの重要性を示している

つまり、過去にSARS-CoV-2にかかった人は、ワクチン接種は1回でも良さそうで、未経験の人は必ず2回接種は受けるべきですね。

変異の激しいRNAウイルスには、やはりカクテル抗体が有効:SARS-CoV-2のケース

Fred Hutchinson Cancer Research Centerらのグループは、SARS-CoV-2のRBDに対する二種のモノクロナール抗体(LY-CoV555, LY-CoV016)について、発生した変異の影響を調べています。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.02.17.431683v1

LY-CoV016は、K417N変異には非常に弱く、LY-CoV555は、E484K変異には非常に弱いことが分かります。両方とも1,000倍以上IC50の値が増加しています。従って、異なったSARS-CoV-2のエピトープを持つ抗体を幾つか組み合わせてカクテル抗体とすることで、SARS-CoV-2の変異に強い治療薬とすることができるであろうことを本研究は如実に示しています。

世界各地で発生しているSARS-CoV-2の変異に対するPfizer, Modernaワクチンの有効性:B.1.351やP.1変異株は危ない

Massachusetts General Hospitalらのグループは、世界各地で発生しているSRAS-CoV-2の代表的な変異に対するBNT162b2 (Pfizer)、mRNA-1273 (Moderna)という代表的なワクチンの有効性について報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7899476/

世界各地で発生しているSRAS-CoV-2の代表的変異(9種類)の分布

各変異に対するPfizer, Modernaワクチンの有効性をNeutralizationで示す。B.1.1.7に対してはほとんど問題はないようですが、B.1.351 v2やP.1ではかなり有効性が下がっているように思われます。K417N, E484K この二つの変異がB.1.351とP.1に共通に存在し、B.1.1.7には存在しないようです。

乳癌や卵巣癌に対するGalectin-3を標的とする治療薬の有効性

Memorial Sloan Kettering Cancer Center, New Yorkらのグループは、乳癌や卵巣癌に対するGalectin-3を標的とする治療薬の開発について報告しています。
https://www.nature.com/articles/s41598-021-82686-3

卵巣がんや乳癌などでは、CA125エピトープを持つMUC16と名付けられたムチンが高発現しています。ムチンはO型糖鎖の修飾を強く受けており、末端部にはpoly LacNAc構造が付加して糖鎖が伸長している場合もあります。Galectin-3(Gal-3)は、poly LacNAcにアフィニティーを持ち、それ故、Gal-3はMUC16に糖鎖を介して結合します。Galectin familyは多様な機能を持ちますが、MUC16は癌細胞との関係が深く、癌の増殖や浸潤に関係しているとされています。

著者らは、Gal-3に対するモノクロナール抗体(14D11)を用いて、卵巣がんや乳癌に対するGal-3の阻害効果をin vitroおよびin vivoで評価しました。Gal-3とLacNAcのKd値は~0.2mMであり、Gal-3と14D11のKd値は~14.6nMでした。従って、14D11の方が13,000倍程強いアフィニティーを持つことになります。

MUC16を高発現するふたつの卵巣がん株(A2780, SKOV3)をマウスに移植し、14D11投与の効果を生存率で比較したものが下記です。

また、乳腺癌細胞(MDA-MB-231)をマウスに移植し、14D11投与の効果を比較したものが下記です。これらの実験結果は、Gal-3の阻害によって癌の増殖を抑えることができることを如実に示しています。

ベンサミアナタバコ(N. benthamiana)で発現させたリコンビナントACE2-Fc融合タンパク質を新型コロナウイルスの治療に使う

UC Davisのグループは、新型コロナウイルスの治療薬としてACE2-Fc融合タンパク質を使うというアイデアを提唱していました。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0237295

Chulalongkorn University, Bangkok, Thailandらのグループは、ACE2-Fc融合タンパク質を実際にベンサミアナタバコ(N. benthamiana)の葉で発現させ、in vitroにて、SARS-CoV-2の阻害効果を実証して見せました。Vero細胞にSARS-CoV-2を感染させ、その後ACE2-Fc 融合タンパク質をアプライした場合、阻害効果として0.84 μg/ml (IC50)を得たという事です。何故植物を使ったのでしょうか?彼らに寄れば、植物を使うことのメリットは、ローコスト、生産のスケーラビリティー、そして動物やヒト由来の病原体を持っていないからだ、としています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpls.2020.604663/full

Arrayed Imaging Reflectometry (AIR) platformに形成した糖鎖アレイを利用したインフルエンザウイルスの型判別

Univ. of Rochesterのグループは、インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのサブタイプ、及びノイラミニダーゼのサブタイプを簡易に見分ける方法として、Arrayed Imaging Reflectometry (AIR) platformの上に各種糖鎖を固定化したセンサーチップを開発し、利用しています。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.bioconjchem.0c00718

ここでの興味の中心は、上記の応用例よりも、むしろ、Arrayed Imaging Reflectometry (AIR) platformとは何ぞや?という点にあります。このplatformは、Benjamin Miller Lab., Univ. of Rochesterによって開発されたもののようです。原理は物理的に非常に簡単でして、鏡面のSi基板上に薄い酸化膜を成長させ、酸化膜の上面と下面(即ちSiO2/Si界面)で反射された光の干渉効果を利用するものです。基板上に斜め入射した光が干渉効果で無反射となる反射条件を決めておき、基板上に固定したプローブとアプライしたリガンドが反応することで反射光の相互干渉に変化が起こり、反射光が現れるという現象を利用するものです。従って、SPRと同様にサンプルへの蛍光ラベリングが必要でないという利点もあります。問題はやはり感度でしょうか?しかし、上記の例では、SPRと同等以上と述べています。
https://www.urmc.rochester.edu/labs/benjamin-miller/projects/arrayed-imaging-reflectometry.aspx

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