新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出におけるRT-PCRのサンプル前処理の簡略化:熱処理のみ

新型コロナウイルスの感染有無の検査には、RT-PCRがGold Standardとなっています。サンプルを鼻腔らより綿棒で取得し、前処理で核酸を抽出してからRT-PCRを実施するのですが、世界的な検査数の増加で試薬や消耗品が不足してきています。
この前処理工程を簡素化できないか、について研究した報告例があります。
https://journals.plos.org/plosone/article/authors?id=10.1371/journal.pone.0243266

結果として、20uL~40uLのサンプルを95℃~98℃にて、2~20分加熱処理するだけで、RT-PCRの良好な結果を得ることができたとのことです。
使用されたRT-PCRキットは、
ABI TaqMan fast Virus 1-Step RT-qPCR kit
Meridian Bioscience Fast 1-Step RT-qPCR kit
です。
但し、UTM Viral Transport COPANを使用してサンプルを回収した場合には、この方法では結果が出なかったということです。
試薬の組成が開示されていないこともあり原因は不明ですが、RT-PCR Kitに使われている試薬の組み合わせによっては、熱処理のみという簡略化前処理は使えない場合があるようです。