The First Affiliated Hospital of Xi’an Jiaotong University, Xi’an, Chinaらは、肺腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌らを判別するための新しいマーカーを気管支肺胞洗浄液から報告しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7840895/
マーカー探索には、レクチンマイクロアレイを使用し、サンプルとしては、気管支肺胞洗浄液を使用しています。adenocarcinomas (ADC) 肺腺癌、squamous carcinomas (SCC) 肺扁平上皮癌、small cell lung cancer (SCLC) 小細胞肺癌らを、benign pulmonary diseases (BPD) 良性肺疾患から判別することを目的としています。更には、early stage lung cancer (LC-ES) 早期癌と、advanced stage lung cancer (LC-AS) 進行癌を区別することも目的としてます。
レクチンマイクロアレイの結果からは、15種類のレクチンで有意差が見受けられ、各種肺癌の違いも見分けるために、数種類のレクチンを組み合わせてロジスティック回帰分析を行っています。
結果として、
肺癌を良性肺疾患から判別するには、ECA, GSL-I, RCA120が使用され、(cutoff value: 0.754, AUC: 0.961, 感度: 0.918, 特異度: 0.939)となり、
ADCを判別するには、DBA, STL, UEA-I, BPLが使用され、(cutoff value: 0.569, AUC: 0.619, 感度: 0.706, 特異度: 0.586)、
SCCを判別するには、PNAが使用され、(cutoff value: 0.578, AUC: 0.693, 感度: 0.800, 特異度: 0.667)、
SCLCを判別するには、STL, BS-I, PTL-II, SBA, PSAが使用され、(cutoff value: 0.728, AUC: 0.718, 感度: 0.721, 特異度: 0.684)、
そしてまた、
早期癌を見分けるには、MAL-II, LTL, GSL-I, RCA120, PTL-II, PWMが使用され、(cutoff value: 0.668, AUC: 0.856, 感度: 0.829, 特異度: 0.810)が得られました。
多様な疾患を判別するには、一変数(一レクチン)に頼るのではなく、多変数(多レクチン)を用いて、各疾患ごとに特徴的なプロファイルを見分けていくことが有利であります。本ブログ管理者の私見ですが、プロファイルの違いを見分けて行くために、従来型の統計解析手法ではなく、AIを投入していくことがトレンドになると考えています。