バチルス菌の土壌接種がリンゴの木の健康と成長にとても良い

Shandong Agricultural University, Shandong, Chinaのグループは、リンゴ農園の土壌から単離されたバチルス amyloliquefaciens QSB-6がリンゴの根に与える影響について報告しています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2021.746799/full

ここでは、下記の4種類の土壌がリンゴの木の根に与える影響について議論されています。

  • 31年リンゴ農園の未処理の土壌 (CK1)
  • 同じ土壌をブロモメタンで燻蒸したもの(CK2)
  • 同じ土壌で肥料のみを加えたもの(T1)
  • 同じ土壌でバチルス amyloliquefaciens QSB-6 接種を行ったもの (T2)

興味深いことに、CK2、T2、T1 土壌がリンゴの木の根の成長を顕著に促進しました。そして、その促進効果は、次のような順番となりました、CK2 > T2 > T1 > CK1。

根圏バクテリアの数は、T2処理で顕著に上昇しており、CK1に比較して、9,64倍も高くなっていました。そしてまた、根圏の真菌の数は、CK2とT2で顕著に減少しており、CK1に比較して、85.58% (CK2)、81.74% (T2) 減少していました。
QSB-6からの細胞外代謝物は、真菌類に対して強い抗菌作用を示し、下図に示すようにフサリウムの菌糸の成長や胞子の発芽を大きく阻害しました。

(A) Fusarium proliferatum, (B) Fusarium solani, (C) Fusarium verticillioides, (D) Fusarium oxysporum

つまり、バチルス amyloliquefaciens QSB-6 は、土壌中のフサリウムに対する高い阻害効果を持ち、顕著にリンゴの木の根の成長を促進したのです。リンゴの病気対策として、根圏細菌を用いた制御法が非常に高い潜在能力を持つことが示されています。