Q677変異(Q677H, Q677P)のウイルス感染力に対する影響について:RRAR Motif周辺の構造変化から

2021年2月19日のブログにて、Q677H, Q677Pという変異が昨年末から北米で上昇していることを紹介しています。

Univ. of Bernらのグループは、Q677変異がSARS-CoV-2感染に与える影響について、SWISS MODELを使って議論しています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7885944/

S1/S2切断部位には多塩基切断部位(RRAR Motif)が存在します。位置677は多塩基部位(furin binding pocket)の外側にありますが、この部位にプロリンが存在すると、 S1/S2接合部での切断に有利に働く構造変化を引き起こす可能性があります。この切断は、フューリン様活性だけでなく、トリプシン様プロテアーゼ(TMPRSS2など)およびカテプシンによっても支配されます。さらに、プロリンの導入は、S689の炭素骨格から3.7オングストローム離れているように見えます(ネイティブグルタミンの4.9オングストロームと比較して)。これは、タンパク質分解切断に有利なコンフォメーションを促進する原子相互作用を促進する可能性があります。S:Q677H置換の場合、ヒスチジンのプロトン化は、プロテアーゼへのアクセス可能性に影響を与えるコンフォメーションスイッチとして同様に機能する可能性があります。これらの構造変化は、より効率的なウイルス侵入を促進する可能性があります。