新型コロナウイルス(COVID-19)のICU患者に見られる特異的なマーカーについて:血管内皮が大きく損傷を受けている

University of Ferraraらのグループは、新型コロナウイルス(COVID-19)にて急性呼吸不全(ARDS)を発症しICU治療を受けざるを得なくなった患者と、その他従来のARDS患者との間におけるマーカーの違いを報告しています。
https://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13054-021-03499-4

終末糖化産物受容体(RAGE)、Angiopoietin-2 (Ang-2)、可溶性intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1)、可溶性vascular cell adhesion molecule-1 (VCAM-1)、E-Selectin、P-Selectinが比較されています。

アンジオポエチンは、脈管形成あるいは血管新生を促進する糖タンパク質であり成長因子、
ICAM-1は、免疫系の細胞間相互作用を司る接着分子の一つであり、活性化リンパ球の血管内皮細胞への結合に関与、
VCAM-1は、血管内皮細胞上に発現する接着部分子であるが、未刺激の血管内皮細胞上に殆ど存在せず、IL-1やTNFのような炎症性サイトカインの刺激によって初めて誘導される、
E-Selectinは、血管内皮のリンパ球接着分子、
P-Selectinは、血管内皮および血小板表面のリンパ球接着分子、であります。

COVID-19では、RAGEはほとんど関係しておらず、ARDSがウイルス感染由来であることを示します。COVID-19では、Ang-2, ICAM-1, BVCAM-1, E-Selectinらが上昇(P-Selectinは逆に減少)することから、COVID-19のICU患者では、血管内皮が大きなダメージを受けていることが示唆されます。