力価も高く変異にも強いSARS-CoV-2 Spike抗体がスクリーニングされた

Vanderbilt University Medical Center, Nashville, USAらのグループは、LIBRA-seq 技術を用いてスクリーニングすることで、SARS-CoV-2に対して力価も高く変異にも強い抗体を得たと報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34592170/

SARS-CoV-2 Spikeに対する抗体を得るために、著者らは優れた抗体をスクリーニングするプロセスを簡易化するために、LIBRA-seqという方法を採用しています。LIBRA-seqは、B細胞受容体の遺伝子配列と抗原への反応性を1細胞レベルで高速に同時決定できる方法です。SARS-CoV-2 Spike抗原に特異的なB細胞は、RT-PCRで陽性とされ、感染3か月後において力価の高い中和抗体を持つとされるドナーから単離されました。

SARS-CoV-2 Spikeに対して高いLIBRA-seqスコアを示した73個のIgG+ B 細胞から、リコンビナントモノクロ抗体を作るための候補として9種が選別されました。疑ウイルスを用いたVSVアッセイで評価したところ、54042-4と名付けられた抗体が最も優れた力価を示し、IC50 = 9 ng/mLを得ました、更にこの抗体は、現存するSARS-CoV-2変異株に対して同等な中和能力を示しました。
54042-4 重鎖はSARS-CoV-2 RBDの443–447 残基に、54042-4 軽鎖は498–500 残基に結合していることが、cryo-EM を用いた構造解析から示されています。