前立腺癌の尿中マーカーについて:PSAのフコース修飾が前立腺癌の進行で減少する

弘前大医学部のグループは、前立腺癌に対する尿中マーカーとその診断法に関するレビューをしています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8100853/

今日現在、FDAが認可した前立腺癌(PC)に関する診断マーカーはただ一つしかありません、それは血中PSAです。 前立腺癌が進行すると、α-2,3-Sia (S2,3PSA) と α-2,6-Sia (S2,6PSA) の比率が変動し、α-2,3-Siaが増加することが知られています。
α2,3-linked Sialyl N-Glycan-Carrying Prostate-Specific Antigen
しかしながら、同じ結果は、尿中のPSAには当てはまらず、シアル酸修飾は尿中では殆ど変化しません。

尿中PSAの場合には、PSAのフコース修飾が前立腺癌のマーカーになる可能性があります。前立腺癌では、Lewis型やコア・フコース修飾を受けたPSAが顕著に減少することが分かっています。これらは、例えば、AALやPhoSLと言ったレクチンを使って検出することが可能です。また、コア・フコース修飾されたPSAが生検サンプルのGleasonスコアーと良く相関することも分かっています。Gleasonスコアが7以上の場合で、 PSA-AALでACU=0.69 (P=0.0064)、PSA-PhoSLで0.72 (P=0.0014)という値が得られています。
Decreased fucosylated PSA as a urinary marker