Type2糖尿病由来の循環器系疾患に対する新しい尿中マーカーについて:High mannose構造が増加

岡山大医学部のグループは、Type 2 糖尿病性循環器系疾患に対する新しい尿バイオマーカーを発見したと報告しています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcvm.2021.668059/full

Type 2 糖尿病性疾患の主要な疾患の一つに循環器系疾患があります。本研究では、680名のType 2 糖尿病患者の尿グライコームの変化をレクチンマイクロアレイを用いて調べています。

5年間のフォローアップ期間の間に、62名の患者がエンドポイントに達しました。Cox比例ハザードモデルを用い、既知の循環器系疾患に対する指標、統計的な疑陽性率、モデルの適合性の向上などを考慮した結果、2つのレクチンが循環器系疾患の進行と顕著に相関していることが分かりました。2つのレクチンは、UDAとCalsepであり、これらのハザードレシオは、UDA(Man5 ~ Man9 に特異性)=1.78 (95% CI: 1.24–2.55, P = 0.002) 及び Calsepa(Man2~Man6)=1.56 (1.19–2.04, P = 0.001)となりました。これらのレクチンに共通する糖鎖結合特異性は、N-型糖鎖のHigh Mannose構造になります。

これらの結果から、type 2 糖尿病患者において、high-mannose型糖鎖を持つ糖タンパク質の尿中への排泄が、循環器系疾患を発症するということを予見する上での優れたマーカーになることを示しています。このような異常なN-型糖鎖修飾の変化が起こる背景のメカニズムについては不明であり、今後の研究が待たれます。