p-cymeneがSARS-CoV-2の抗ウイルス薬になり得る

University of Crete, Greeceのグループは、p-cymene(p-シメン)がSARS-CoV-2に対する抗ウイルス薬になり得ると報告しています。
https://bpspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/prp2.798

SARS-CoV-2に感染したVero細胞をp-cymeneで処理(濃度は0.0125 ~ 200 μg/ml、2日間のインキュベーション)した結果、プラーク形成が顕著に減少し、培養上清中のウイルス力価も大きく減少しました(up to 90%, Q-PCRにて検証)。SARS-CoV-2を感染させる前に、Vero細胞をp-cymeneで前処理した場合には、ウイルス力価が95%減少しました(Q-PCRで検証)。IC50 の値は、同時アプライで74.5 μg/ml、前処理した場合では57 μg/mlまで減少しました。重要なことは、p-cymene の濃度は <100 μg の場合には、細胞の生存能力には全く影響がないという事です。

SARS-CoV-2 N proteinとインポーチンAの結合体に対して、p-cymeneを加えた場合の影響を分子動力学を用いて検証した結果は、p-cymene はヌクレオカプシドとインポーチン結合体を不安定化させることが分かりました。この結果として、核内輸送が阻害されることになります。