ABO血液型および分泌型か非分泌型かという事がCOVID-19の重症化にどう関わっているのか?

Bristol Institute for Transfusion Sciences (BITS), NHSBT, UKらのグループは、ABO血液型および分泌型か非分泌型かという事がCOVID-19の重症化にどう関わっているかについて議論しています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jha2.180

世界各国でABO血液型とSARS-CoV-2の感染率や重症度についての研究が行われ、A型がO型よりもリスクが高いとする報告があまたに存在します。A型がCOVID-19の重症度に関わっている理由については未確認ですが、O型の人が持つ抗A抗体が関係しており、A抗原がSARS-CoV-2の感染における共受容体として機能しているという事が指摘されたり、或いはまた知られた事柄ではありますが von Willebrand factor (VWF)に起因する血液型依存の血栓症が関係しているのだ、と推察されています。

本研究で得られた結果は、A型と入院率は関係しているということ(RR = 1.24, CI 95% [1.05, 1.47], p = 0.0111)、そしてA型では心血管系合併症のリスクが大幅にあがるということ(RR = 2.56, CI 95% [1.43, 4.55], p = 0.0011)、更にA型の非分泌型では、同分泌型よりも顕著に入院率が下がるということです。どうしてA型とO型の間でCOVID-19の心血管系合併症リスクに大きな差異があるのかについては、VWFに関係した事柄が原因になっているのではないかと考えられています。

知られているように、FUT2がアクティブである場合、A、B、O、Lewis b抗原が粘膜表面に発現しており、このタイプのヒトを分泌型と呼びます。一方、FUT2が非活性であるヒトにおいては、Lewis a抗原のみが発現し、非分泌型と呼ばれます。