SARS-CoV-2 Spikeは、レクチン捕体系路を活性化できる

University of Cambridge, Cambridge, UKらのグループは、COVID-19の重症化病理におけるレクチン捕体系路の重要性について言及しています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fimmu.2021.714511/full

補体経路は、自然免疫及び獲得免疫における重要な免疫機構の一つであり、現在までに三種の捕体系路が知られています、古典経路、代替経路、そしてレクチン経路です。
mannan-binding lectin-associated serine protease-2 (MASP-2) がレクチン経路におけるキーとなる酵素です。活性化された MASP-2 が C4 を効果的に切断でき、C3 及び C5 転換酵素複合体 C4bC2a 及び C4bC2aC3bを作ることが出来、順次活性化して、最終的な細胞膜侵襲複合体を作ります。pathogen-associated molecular patterns (PAMPs) 認識分子がMAPS-2を活性化するにはキーとなります。ヒトにおけるPAMPs認識分子には、mannose-binding lectin (MBL)、collectin-11 (CL-11)、そしてCL-11 と CL-10 と ficolinのヘテロ結合分子があります。レクチン経路は、このPAMPs認識分子が病原菌のPAMPsに結合することで開始されるということになります。

SARS-CoV-2のSpikeタンパク質やNタンパク質に対するこれらPAMPs認識分子の結合が調べられました。ELISA MTPにSARS-CoV-2 Spikeタンパク質, SARS-CoV-2 Nタンパク質 或いはまたコントロールリガンド(mannan を MBLに、N-acetyl BSA を ficolin 2(FCN2)に、zymosan を CL-11に)固定化し、血清の希釈系列をWellにアプライしています。以下に示すように、PAMPs認識分子(MBL、ficolin2、CL-11)がSARS-CoV-2に結合することが明確に示されています。

このレポートにおいては、レクチン経路がCOVID-19の重症化に関わっているかどうかについてはデータは示されていないのですが、これが、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に関わっている可能性はあるのではないでしょうか?